
現在中国という国のある地域にあった国々の話の終末には、だいたい美女が出てくる。
それはホウジであり、ダッキであり、また新しいところでは虞であったり、楊であったりする。
これらの国々の話に共通していることは、美女にうつつを抜かすような王だから、国も滅びたのだ、とイメージさせている点だ。
かの国々では、次の覇者が前の時代を書く習わしがあったから、これら美女にうつつを抜かしたという話も、実は眉唾物だろう。
一方、エジプトでは絶世の美女ということになっているギリシャ人、クレオパトラ7世が有名だ。
が、これもおかしい。
エジプトは日本とは違い女系継続王朝だから、シーザーにしろアントニウスにしろ、単にアジアの地固めにクレオパトラ7世と組んだのであり、クレオパトラ7世もまた、自国の滅亡と血の断絶を恐れて、ローマ男に身を投げ出しただけだろう。
エジプト王たるギリシャ娘を、柔な恋愛物語の主人公としてとらえてはなるまい。