[小説]邪魔だが、甘い蜜の出(いず)る国 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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その国は、大海の中に弓なりになって横たわり、また累々とした島々が連なって、我らの東を塞いでいる。
実に邪魔な存在だ。

かつて烟の国にいたペテン師が蓬莱の国だと上奏し、帝から金と優れた若者を引き抜き作った地方である。
東戎にありながら、最近まで我らに楯突くばかりか、本家たる我が国土を蹂躙した、鬼の輩たちの集まりなのである。



が、長らく打ってきた注射が、ここにきてやっと効果を現してくれた。



この東への道を塞ぐ邪魔な地方は、同時に甘い蜜を産する糖原橋でもある。
桃源郷の夢をもたせ、生かさず殺さず、活かさず転さず、逝かさず育かさず。

桃源郷の幻影の中で、糖原橋となるのが、我が国の崇高なる理念に合致することである。







なーんて考えられていたら、たまったものじゃありませんなあ。