もう一度復習しましょう。
猫が屋根から雪の積もった地面に飛び降りると、雪に穴があく。
なぜかというと、高い所にいる猫は高さのエネルギー、つまり位置エネルギーを持っているけども、飛び降りることによりそれが運動エネルギーに変わる。
さらに地面に着くと、一気に運動エネルギーも位置エネルギーもなくなる。
エネルギーというものは、私たちの生きている世界では、何も変化せずに消えるということはない。
では猫が持っていた、位置エネルギーやら運動エネルギーやらはどうなってしまったかというと、ちゃんと雪に穴を開けるという仕事に使われた。
簡単におさらいをしてみました。
猫が屋根に登るにはエネルギーが必要ですが、このエネルギーの話になると分かりにくいので、この後の説明がわかりやすいようにエレベーターで上がったとします。
そうするとこの話は、こんな風になります。
①初めに猫は、屋根より低い地面に寝ていたので、位置エネルギーも運動エネルギーもなかった。
②ところが、エレベーターにより屋根、つまり高いところに運ばれたので、位置エネルギーをもった。
③屋根から飛び降りることにより、位置エネルギーを運動エネルギーに変えていった。
④地面に着いて、位置エネルギーも運動エネルギーもなくなったが、そのエネルギーで雪に穴をあけるという仕事をした。
この穴をあける仕事について考えてみます。
昨日も書きましたが、たとえば、穴ではなく光というエネルギーに変わる。
これが炎色反応なわけです。
つまり、
①プロパンガスの炎の熱(エネルギー)で、食塩が塩素とナトリウムになり、ナトリウムはさらにより高い形のナトリウムになった。
②この高い状態のナトリウムが元の形になるときに、プロパンガスの炎からもらったエネルギーを、別の形で放出した。
③放出した光エネルギーは、人の目にはオレンジ色の光に見える。
科学的には正確ではありませんが、間違いというほどのものでもありません。
何とか以上ベクレルだと危険、何とかベクレル以下だと安全とかいう話や、イグノーベル賞ものの冷温停止とかよりは科学的ではないでしょうか。
このように、炎色反応では熱をもらい、それがいささか面倒な過程を経て光になりました。
これと似たり寄ったりの形で青い光が出る(見える)ことがあります。
それはオーロラに似ています。
オーロラは太陽から届く風(エネルギーの塊)が地球のまわりにある物質をより高い状態に上げ、それが元に戻る時にいろんな光の帯となって見えるものです。
高い状態と書きましたが、科学では励起状態、元の状態は基底状態などと言います。
まあ、言葉はどうでもよいでしょうが。
言い換えると、太陽風のエネルギーが地球の空の上の方にある物質を励起状態にし、それが基底状態になるときに光を出すわけです。
猫が屋根から飛び降りたら、雪に穴があくのではなく光が出た。
まあ、そんなところです。
さて、こうした現象は蛍光灯などでも見られることですが、たいへん珍しい現象でも光が出ます。
そしてそれは、人には青く見えます。
このエネルギーは、猫の話ではエレベーター、炎色反応では熱、オーロラでは太陽風のエネルギーでしたが、これから話すエネルギーはγ線というものです。
今でこそかなり耳にするようになりましたが、2年以上前には、γ線というものはあまり知られていなかったのではないでしょうか。
疲れました。
続きは、気分が向いたら明日にでも。

α、β、γなどというものは、ほとんどの方は数学の授業でしか使った記憶がないと思われます。
しかし、現在市販されている放射線測定機器(シンチレーションカウンターなど)の大部分は、γ線というものの性質を利用していると考えられます。
(研究所などで使われている高い機器は、この限りではありません)
γ線などというと肩が凝りそうですが、エネルギーの一種と考えてください。
エネルギーは猫が雪に穴をあけたように、別の形のエネルギーに変わったり仕事をしたりします。
仕事と言っても、人にとって都合のよい仕事だけとは限りませんがね。