私の携帯電話では、コジキと入力すると乞食と変換されてしまいますが、これから話すことは、現在残っている日本の神話・歴史書では最も古いと考えられる『古事記』のことです。
厳密に言うと古事記の写本の中の前文の一部のことですが、長ったらしいので古事記とさせていただきます。
古事記は太安万侶(おおのやすまろ)の編纂によると言われています。
安万侶は古事記の編纂にあたり、たいへん興味深いことを書いています。
今回はその中から、私が個人的に特に印象に残る部分だけを拾ってみました。
なお、この現代語訳には、講談社学術文庫『古事記(上)』全訳注 次田正幸 ISBN4-06-158207-0を参考とさせていただいております。
★……それぞれの時代に緩急や派手、地味の差はありますが、昔のことを明らかにし、最近消えかけている道徳心を取り戻し、現在のすさんだ世の中を反省しながら、人の正しい道をもう一度考え直さなければなりません。
★……しかし、昔の言葉というものを漢字の文にするのには苦労しました。
昔の言葉に合わせて訓読み漢字で書こうとすると、意味がうまく伝わらないものが出てきます。かと言って、意味に合うように音読み漢字にするとやたらと長い文になってしまったりします。
……また、理由はもう分からなくなってしまいましたが、「日下」をクサカ、「帯」をタラシなどと読むものはそのまま記述して、あえて手を加えませんでした。
※古事記とギリシャ神話の類似は、よく言われるところです。
例えば、スサノヲがヤマタノヲロチを倒し姫を助け出す物語は、ペルセウスがアンドロメダ姫を救う話にそっくりです。
一方、大国主が兄弟から受けるいじめや、ヤマトタケルがネズミの知恵で一命を取り留める話は、マヤ神話であるポポル・ヴフに極めて似た話があり驚かされます。
しかし、言葉の意味、発音、全体の雰囲気は、古代エジプト神話により類似を見てしまう私です。