それはさておき、漢人の国では鬼とは死人を意味する。唐や呉の影響を強く受けた日本でも、今なお鬼籍なる言葉が残っている。
ところで、日本独自と思われるものに怨霊がある。
さらに、怨霊封じのために神への昇格をさせる風習がある。
これは大陸ではあまり見られない風習だろう。
彼らは、敵に対してはその墓まで暴き、子孫三代縁者をはふることは当たり前だからだ。間違っても敵方を崇めたり神にしたりはしない。
有史時代になってからの日本の怨霊の代表は、NHK大河ドラマでもうすぐ出てくる崇徳上皇あたりだろう。少し古いところでは早良親王(1300年後の明治になり崇道天皇と諡)あたりだ。
伝説を含めれば、一番の怨霊はなんと言っても大国主、5馬身離れて聖徳太子や道真あたりだろうか。
マニアックなところでは、役小角、諏訪もあるが、こちらはあまりメジャーではない。
道鏡あたりも怨霊になっていいはずだが、こちらは意外と静かにしている。
怨霊とは人が心の中に作り出すものだ。
しかし、恨みが長続きしない日本人は、神に祭って呪いを浄化してしまう。
こうした民族は世界的には珍しいにちがいない。
だからこそ、相手を理解できずに大きな落とし穴に落ちることもある。
