
私は太い派
堤中納言物語に『虫愛づる姫君』という、たいへん面白い物語があります。
この姫君は、太政大臣の娘をモチーフとしたと言われていますが、当時の常識からは考えられない身なり、趣味、考え方をしており、現在ならレディ・ガガも真っ青な翔んでる少女でした。
当時は、眉は剃り落として描き、歯にはお歯黒をして黒くするのが貴人の常識でした。が、このお嬢さんは“人間は外見なんか大切ではないの。中身よ中身”とか言って、周りが強く諭しても、眉は真っ黒に生やしたまま、歯も真っ白のままでした。
今なら素っぴん、歯の白い美少女となりますが、当時としては、名誉総理大臣の娘がガンクロで、背中には龍の絵でも彫ったようなイメージだったでしょう。
とにかく、変人奇人の代表みたいなお嬢さんでした。
しかし、このお嬢さんも、ひとつだけ当時の常識を守っています。
それは、顔や姿を男に見せることは恥ずかしいことだ、ということです。
このお嬢さんの言葉がまた素晴らしい。
鬼と女とは人に見えぬぞよき
名言です。
