
人間はオオカミの子孫であったり、オオカミに育てられたという伝説・信仰は世界各地にあるようです。
よく知られているのは、ローマを建国したと言われるロームレス、レムスの双子の伝説や、チンギス・ハンなどでしょう。
また、ドイツではWolf,Wolfgang,Wolfhardなどの名前はけして珍しいわけではないようです。
ずいぶん昔の話になりますが、ある会社のパンフレットの冒頭に“私たちはオオカミの子孫であり、その崇高なる……”というようなドイツ人社長の挨拶文を見たことがあります。 正直なところ、そこで私は鎧を着て三歩引きました。直接は話してはいないのですが、上司の笑顔の中にいくばかりかの不安を覚えたものです。
ちなみに日本でオオカミを祭る神社としては、関東秩父の三峰神社が著名でしょう。
しかし、実は日本中の神社は、ほとんどすべてオオカミを祭るものだとの“こじつけ”も可能です。なぜなら、オオカミとは大神だからなのだとするわけです。
えっ?
狼と大神は発音が違うって。
まあ、確かに偉い学者先生の話だとそうなりますわな。
そういった高尚なお説に従いますと、足立区あたりで“しまわり”と呼ばれているものは“ひまわり”ではないことになりますし、うちの田舎で老人が駅を“イキ”、あるいは百合を“イリ(ヘブライ語みたいだ)”なんて呼ぶことは、言語学上あり得ないことになります。
だって、“しまわり”と“ひまわり”より、ずっと発音が近い“狼”と“大神”は同じ発音にはなり得ないわけですから、それよりはるかに違っているしまわり・ひまわりは同じもののはずがありません。
ちなみに、現在では狼も大神も、“オオカミ”で、同じよみです。ただし、実際の発音は“オーカミ”に近いと思われますがね。
偉い学者先生方の説は、呉音がどうの漢音がどうの、上古音がどうのと、硬すぎていけません。
そんなこと言ったら、日本で教える英語を発音できるイギリス人が、現在ロンドンに何人いますか。
アメリカ西海岸なんて、英語を話せる人がほとんどいなくなってしまうのでは?と思うのですが……。どうなんでしょう。

蛇足ですが、現在もオオカミが生息しているという話があります。
ただし、どうも雌のみらしく、山の上のオカミなどと呼ばれているようです。
こちらの研究は“奧”が深いため、なんでも研究所を目指す当該施設ではありますが、この分野に関する研究をする予定はござません。
もひとつ、こんな歌が流行っているとか。
オカミはオオカミなのよ、気を付けなさい
言うことをそのまんま 信じちゃダメよ
…………
あーあ、あなたもオカミに
騙さーれまーすーかー