なんとなく小説 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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何年ぶりかしら、この脱力感。

私は、ネイティブの言葉で友達と名付けた娘が足元でじゃれつくのさえうっとうしく感じた。
まとわりつく彼女を無視してシャワー室に入った私は、少しばかり後悔した。
彼女には罪はないの。なのに私ったら、ろくに目も見ずに逃げるようにここに来てしまった。
私は、数日前に一人立ちした娘とのハグを思い出していた。

あの時あの子のハグは少しばかりへんだった。いや、気のせいかも知れないけど、形だけのハグのようなものを感じてしまった。
今日の私は、もう一人の娘に、もっと冷たいことをしてしまったわ。

シャワーを浴びたら、思いっきり遊んであげよう。

アン・ドゥ・トワァに続いて、マニアーナという言葉が女の口から漏れた。




女は何かを振り切るように、シャワーの水を目一杯流している。
たぶんその水は、少しばかり塩辛いに相違あるまい。