チクッとした。
が、それは並みの痛さではなかった。
少なくとも普通の注射よりは痛い。筋肉注射に似た痛みだった。バラのトゲにでも触ったかな?と、初めは思っていた。
が、それにしては痛みの質が違う。
なかなか気付かなかったが、しばらく見ていると、痛みのある部分に太さ0.1ミリメートル長さ2ミリメートルくらいの針のようなものがあることが分かった。
私には珍しく、丁寧にその針みたいものを取った。
が、まだその時も敵の正体を頭に思い浮かべていなかった。
しばらくすると、刺されたあたりが赤く腫れあがってきた。
あっ!もしや。
そう。私は日本では最強に近いヤツにねらわれてしまったらしい。
チャドクガ(茶毒蛾)であることは、まず間違いない。
こやつには子どもの頃刺されているから、私の体には抗体が出来ているはずだ。
だからかも知れないが、初めて刺された時の痒みではなく、滅法痛さを感じてしまう。
人によってはアレルギー、ショック状態となるらしいから、まだ私の場合は軽い方なのだろう。
こいつには、二十歳以降しばらく刺されていなかった。少なくとも海外では一度も刺されていない。
千葉にやってきて、2、3年後、久々にやられた。
その時あたりから、痒みではなく痛みに変わっていた。
さて、チャドクガとほぼ確定したから、もう一度患部を診る。
ありました、ありました。
太さ0.1ミリメートルにも満たない長さ1ミリメートル程度の透明な毛みたいものが、膨れあがった皮膚にこびりついている。
たぶん老眼の方だと見えないだろう。
幸か不幸か、近眼の私はなんとかそれを見つけ出した。
しかし、私にしては珍しくかきむしったりしなかったのは幸いであった。
もしそうしていたなら、おそらく触れたところすべて真っ赤になっていたかもしれないからだ。
チクッと感じてから、もうすぐ90分。
3cm×5cmくらい赤みが広がったが、ほとんど皮膚の色になってきている。
今までは、すぐに刺された相手が分かったから、薬を塗ったり、シャワーで洗い流したりしていた。
が、なかなか治りが悪かった。
今日は意外な場所だった(家をでる時、ポストの回覧板に触れた時)から、敵さんを思い浮かばなかった。
しかし、結局はこれが良かったようだ。
へたに治療などしようとして、毒針を身体中に撒き散らさなかったからだ。
今日も、ひとつおりこうになったぜ。
って都会人には関係ないか。
いやいや、この気候が続くと、いつ都会にチャドクガが現れても不思議ではない。
ご注意を。
って、何を?
はい。黄緑色の長さ1、2cm毛の生えたダンゴムシみたいものをみたら、近づかない。
スキー板で、スパッとやられた痛みよりは痛いです。
さて、今日は一人で田舎へお墓参り。
★インターネットなどで、チャドクガを調べておきましょう。