
いくら田舎で、男たちと川遊びしていたあたいでも、あの時は心臓が破裂しちゃうかと思えたのよ。
あたいだって女。
それにあの時はまだ、乙女だった。
祇園の帰りに、二人で川べりを歩いていたら、カナブンかなんかがあたいの浴衣の中に入ってきてしまって。
バタバタやってるうちに、背中に入っちゃって。
あん時、あんたはさっさと浴衣の帯を解いて、唖然とするあたいを生まれたまんまの姿にしたゃった。
今考えると、あんたはすごく手際よく慣れていたわ。
あたいは、半分泣きべそをかきながら、
ううん。ホントはちょっと嬉しかった。
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でも、その後が最低。
あたいはね、勇気をふりしぼって、胸に当てていた両手を下ろしたのよ。
そりゃ田舎で走り回っていたから、肌黒かったかもしれないよ。
ええ、せんべいって言われるくらいのペチャパイだったわよ。
でもね。
あたいは勇気を出したの。
あんたが好きだったから。
それがなにさ。
ほら、虫取ったよ。
そう言って、あたいが張り裂けそうな胸を差し出したのに、全然無視。
夏でも風邪引くから、早く着ろだって!
最低だわ。
ええ、呪ってやるわ。
あたいは、あんたを一生許さないからね。
あたいの小さな胸のときめきを無視したあんたを。
ええ、一生許さないんだから。
あんたに彼女ができたら、毎日呪ってやるわ。
ええ、約束できるわよ。