ああ、あれはヘリオスですよ。
ヘリオス?なんですか、それ。
まあ、人工衛星、いや軍事衛星と言った方が分かりやすいかな。
一種の気象兵器だよ。
気象兵器?何、それ。
だからね、気象を乱す機械さ。でっかい銀色の折り畳み傘だと思っていい。
あるいは、パラボラアンテナだ。 これを三台用意すれば、世界中だいたいどこの場所でも狙える光熱兵器が完成だ。
なんか、言ってることが、さっぱり分からないんだけど。
そうかい。
じゃあ、もっと簡単なたとえにするか。
虫メガネで光を集めて、遊んだことはありますわな。
ええ。子どもの頃、オヤジの着物に穴を空けてぶっ飛ばされました。
そう、そう。
それと同じですよ。
軍事衛星に搭載された折り畳み傘が、その虫メガネのようなものだと考えていい。
折り畳み傘の開き具合で、距離、範囲、集光を調節できる。
例えば、これを東京・中央区あたりに焦点をあてたとする。
そうすると、そのあたりは高温になり、地上温度が上昇して、超小型の低気圧ができる。
上昇した空気が冷やされ、同心円状の雲が発生する。
台風と同じ原理で、目にあたる部分は雲ができない。
また、海上ではないから十分な水蒸気がないため、周りにできる雲も、まばらなものになる。
へーっ。
まるで、今日の雲みたいですね。
いや。似ているが、あれは違う。
えっ?じゃ、なあに。
うーん。
それを分かるには、あと5年くらい物理学を学ばなくては、説明しても理解できまい。
そんなもったいぶらずに教えてよ。
しょうがない。
じゃあ、さわりだけ教えてやるか。
いいかい。
まずは、基本の基礎からだ。
テンソルgikの行列式det(gik)をgであらわすとき、任意テンソルTijk…,lmnに対し√|g|Tijk,lmmで定義されるdx1…dxNによる積分の値 £ijk……。
これは、どうなる?
? ? ?
あっ、そうか。
あまりに基本的過ぎてバカにするなって、顔だな。
じゃあ、ちょっと飛ばすぞ。
limXs(w)<Xt(w)<limXt(w)≠Wと仮定し、この時カーケンドール効果ならびに、カー効果の値を……。
あのう。
おっちゃん。
やっぱり、いいわ。
あと少し勉強してから訊くから。
あれ、あんまり基礎的な話で眠くなったか。
ああ、それがよかろう。
しかし、これからのネプツリウムの話が面白いんだかなあ。
まっ、いいか。
ふーっ。
冷や汗かいた。
あのおっちゃんの言葉は、カタツムリ語より難しい。