実は、私は風景だけを写した写真は好きではない。
なぜなら、そうしたものは、プロの撮った絵はがきの方が、はるかに素晴らしいと思うからだ。
だから、私が風景だけを撮る場合には、絵はがき的ではない、心象風景的なものにしたいな、と考えている。

夕暮れ時のブナ林。
明るい葉の色せいか、空もまだ明るく見える。

静まりかえった沼のただずまい。
秋の虫の声もなく、風に揺れる水面が、音のない音を出す。

森の奥深く暗い沼では、金色の枯れ葉が彩りをつける。

教育上問題ありとされ、伐採の危機にあったブナとフジ。
私には、助け合う男女の姿に見える。