【小説】やられました | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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私は 関係ない




残暑が厳しいにも拘らず、机の上にある、シルバーの携帯が震え出した。


この携帯電話番号を知っているのは、世界に8人しかいない。



おっ、李からか。

新界の競馬場近くに、3つほど高層ビルを持つ彼は、かつてタイ・バンコクの北方30キロメートルくらいのところにある、ナワナコンという工業地帯に、成型工場を持っていたこともある。


ほとんど同い年ということもあり、若い時にはシーロムやタニヤあたりで、よく遊んだものだ。





広東人らしくない、のんびりとした福建なまりの広東語が聞こえてきた。







やられましたよ。




彼が言った。



うん?



また、タイの二の舞か?

あの時は、邦貨3億くらいと苦笑いしていたが。





なんで?




円!





いくら?







20!





彼には珍しく、湿った響きである。





さすが、違うなあ。




でも、多分20が200でも、やられました、で終わりだろう。






私は、100円引きになった牛丼を食べながら、深くため息をついた。