幼稚園の想い出 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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私は田舎生まれですので、当時の田舎なら当たり前ですが、幼稚園や保育園には行ったことがありません。

バスで通えるところには、私のブログを時折見て下さっている、あるブロガーさんの親戚あたりが経営する幼稚園がありましたが、これはお大尽さまのご子息の通うところです。


今でもはっきり覚えていますが、幼稚園に入れる年になる前の秋。その幼稚園の園長先生だかが家にやって来て、“○野幼稚園に行こうね”みたいなことをおっしゃいました。


で、私の答え。


“オラ、○岡高校さ行ぐがら、幼稚園には行がね”


はい、小さい時から食えないヤツでしたな。


当時の私には、○岡高校が夢。
幼稚園に行くと、その高校には行けないと思っていたのです。





さて、幼稚園には行っていませんが、幼稚園時代の想い出話などをしましょう。







☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


通訳が3人付いた。

1人は、私たち2人に片言英語で直接話す男。

次の1人は、北部語を英語ができる男の、首都語に訳す男。

最後の1人は、原住民の言葉を、北部語に訳す男である。



タクシーという名前の軽トラックの荷台には麻縄が張られており、震度6くらいの揺れの中、これにつかまって山道を登っていく。


荷台には私たち2人の乗客と、通訳3人。さらにカラシニコフを持つ2人がいる。


車内には、ドライバーと、やはり小型銃を構えた男が座っている。



“いいですか、旦那方。滅多なことでタクシーから降りちゃいけませんぜ”


少し前までは、ココナッツに穴を開けて、呑気にチューチューやっていた通訳が、急に真顔で言った。










“ありゃ?桜が咲いている”

相棒が言った。


確かに、遠目には桜そっくりの薄桃色の花が見えた。

久しく味わっていなかった、朝の寒さ。


桜に似た花を付けた木。


これから行くところは、話に聞く桃源郷なのだろうか。

いや、虎だか龍の住むところという人もいる。



とにかく、やたら物騒な出で立ちの者に囲まれた旅であった。










“どうですか?やってみますか?私はしませんが”


片言英語通訳が言った。



“いやいや、遠慮しておきましょう”


私と相棒は顔を見合せる。

お互い、心の中でこう呟いていたはずだ。



日本ならともかく、ここでそんなことしたら、比喩ではなく本当に豚箱行きだせ。



クラバラ、クラバラ。






マイ・ペンラ~イ。

私が大好きな、この国の言葉。


しかし、それをしたなら、マイ・ペンラ~イではなくなるのだから。





遠い、幼稚園時代のお話でした。