一昨年前から決まっていたが、白神山地の奥深い温泉である。
先ほど白神の主からメールが入った。
この男、『宇宙船地球号』という夜中に放送されていた、民放版プロジェクトXで紹介されたり、日本経済新聞の数段にわたり写真入りで紹介されたりと、ある方面ではちと知られた存在で、次期ノーベル化学賞か医学賞に最も近いとされる、ある日本人研究者にも近い存在の男だ。
学生時代の研究室では同じ長テーブル机で1年間、同じ釜の飯ならぬ、同じ瓶の酒を飲みながら、よく徹夜もした。
彼の名前のついた酒もあるほど、いいところのお坊ちゃんではあるが、私なんざよりはるかに大人。
実は、私が今こうしてこの世に生きさせてもらえているのも、彼の力によるところが大きい。
ところで、同窓会ははるかに先だが、食事処の案内に目を見張った。
マスターは、東京芸大油絵専攻、元宮内庁のだし担当とか。今でもフランスあたりから総料理長の誘いがあるらしい。
彼のことだから、よく出入りしているのだろう。
普段は控え目な男が『記憶に残る料理を出してくれるはず』とある。
うーん。
多忙な時期だが、行かなくっちゃね。