この星座は、冬のオリオン座同様、たいへん見つけやすい星座でしょう。
夏になると、南の空に S字型の星の連なりが見えてきます。
日本など北半球ですと、さそりが立ち上がった姿で、右上の方がハサミを持つ頭部、左下に毒針を持つ尾があります。
やや右上(さそりの心臓あたり)には、赤色超巨星として有名なアンタレスが、肉眼でもオレンジの光を放っているのが分かります。
さそり座には3等星以上の星が12個もあるので、たいへん目立ちます。
ただし、日本あたりでは、やや高度が低いところにしか見えませんので、都会ではいささか厳しいかも知れません。
アンタレスの大きさは桁外れです。
直径は私たちの太陽の1000倍近く。
もし、アンタレスが私たちの太陽だったなら、その縁は、地球どころか火星まで達してしまいます(つまり、地球や火星は太陽の中です)。
アンタレスとは、アントゥ(敵対する)アーレス(火星)の名で、赤さにおいて火星と競いあうという意味なのです。
さて、この夏のさそり座と冬のオリオン座は、地球から見るとほぼ正反対の位置にあるため、さそりが現れるとオリオンが逃げるのだ、という神話があるようです。
というのは、オリオンがあまりに元気いっぱいなので、大地母神ガイア(『ガイアの夜明け』というドキュメンタリー番組があった)がうるさいと、さそりを使ってオリオンを天上界へ追いやってしまいました。
だから、今でもオリオン座はさそり座が現れる夏になると、逃げて見えなくなるのだとか。
なお、オリオンはゼウスの甥っ子。ゼウスの兄ポセイドン(ローマ神話のネプチューン)の子です。
ポセイドン・オリオン親子は勇ましさが売り物ですが、二人とも勇まし過ぎてか、疎まれる存在であったようです。
ところで、しし座のレグルスが30年後くらいに、金星とランデヴーすることを書きました。
このさそり座・アンタレスも、あと少し後に金星とキッスをします。
是非とも見たいものですね。
いつですかって?
はあ、もし地球や金星の軌道、公転周期などのブレがなければ、2400年11月17日の予定。
秋の夜空は美しいですよ。
はあ、見られっこないだろうって。
いいえ、さそり座のあなたは、ヨーダより長生きする予定。
たぶん見られるはずです。