
先日のことである。
大東京に行って驚いた。
綺麗なべべ着たお嬢さんが、満員電車の中で“ここさ寝る、ここさ寝る”と話していた。
おいおい、いくら眠くても、こんなところで寝ちゃあいけません。
そんな言葉が、つい喉元まで出てきたが、ぐっと抑えた。しかも、そのお嬢さんは、垢抜けした顔つきに似合わず、相当になまっていた。
正しくは“ここさ寝る”ではなく、“ココシャネル”に近い発音だった。
また、ワンチャンコーナーでは、こんなこともあった。
ある男が、“ラッコ捨て”がどうのこうのと言っていた。
多分、ワンチャンという新しいペットを飼うので、それまで飼っていたラッコを捨てようか、とでもいうのだろう。
私は動物愛護協会などには関係がない。が、これはあまりに身勝手に感じた。
その男は、ワニのマークの付いたポロシャツ姿であった。
ちょっと哀れだったのが、二十歳そこそこの男性である。
“ふぃふぁ、いいね”
とか言っている。
多分、若いのに入れ歯でもしていて、空気が漏れてしまっているのだ。
で、一番驚いた、いや、怒りさえ覚えたのは、喫茶店という公共の場で、キャッキャッしながら恥ずかし気もなく、こんなことを大声で話合っていたお嬢さんたちである。
“フェラ噛もう。最高!”
“馬鹿も~ん”
私は危うく、大声で叱るところであったのである。
