展示開場である西武ドームを出ますと、露天で陶器市を開催していました。

有田焼、備前焼、笠間焼……などに混じって、新しい感覚、手法による陶器も見られます。
中には、こんなものも。

ニャーコファンにはたまらんでしょうなあ。
ワンコファンの私でさえ、かわいいぞと思いました。
で、私が一番気に入ったものは、

いやいや、こんな感じではありませんな。

うーん、これでもない。
(これは成型品かも)

はい。
これも悪くはなかったのですが、
やっぱり、一番はこれ。

うーん。携帯電話付属カメラでは、本当の色が出ません。
が、この色使いは初めて見るもの。
形も実にセクシー。
何枚も、何枚も写真を撮ってしまいました。
うーん、色が出ない、とブツブツ言っていますと、
“旦那さん。色が出ないなら、写真を撮るじゃなくて、買っていってくださいな”
と、店の女将さん。
“いやあ、4、5万はするでしょうよ”
(馬鹿な!そんな値段のはずがない。と分かっていても口に出してしまうあたりが、子ども時代では考えられないこと。島ちゃん時代の東南アジア生活が、思考の一部になってしまっている)
女将さんは、案の定にっこりして、
“あと少ししますけどね”
と、若い男が近づいてきた。
“この色は、他じゃあ出せません”
今どき珍しい、生真面目を絵に書いた二十代後半。
“これは、俺のオヤジが焼いてます”
若者の顔には、これまた化石になってしまった、父への尊敬が滲み出ていた。
私は、少し離れていたところにいる作者に頭を下げ“素晴らしい色ですね”と言った。
私より少し年輩かと思われるその男は、にこりともせず“ありがとうございます”と、頑固な顔つきを崩さずに答え、目をずらした。
この陶器市。
一番美しかったのは、若いあなた。
そう、オヤジの作者に誇りと尊敬を持っていた、あなたの心ですよ。
と、
ちと、綺麗にまとめ過ぎましたかな。