鬼とはなにぞや | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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あなたにとっての「鬼」とは?
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日本の文献に鬼が出てきたのは、たしか伊勢物語あたりだった気がする。

伊勢物語は、光源氏とならぶ日本を代表する色男である、在原業平の書いたと言われる紀行文風自伝小説であると言われている。

業平があるやんごとなき女と、あばら家で一夜をともにした。
が、翌朝起きてみたら、女は鬼にさらわれていたというものだ。

ある人に言わせると、この鬼とは、女の兄弟である藤原某ということになる。

せっかく、極めてやんごとなき方に嫁がせ、摂関の地位を磐石にしようと思っていたところを、いくら極めてやんごとなき血を引く男だとはいえ、もくろみを崩されるのを恐れた、ということらしい。

たしか本文には、“ああ、これを鬼というのだなあ”みたいな表現があったから、たぶんこの時代(平安中期)には、すでに鬼という言葉が、比較的広がっていたのだろう。


ところで、こうした鬼ではなく、伝説に出てくる鬼には、だいたい角があったり、ひげもじゃであったり、あるいは赤ら顔、青い顔をしている。


これはおそらく、現日本人の前に日本に住んでいたアイヌのかた達や、外国から来た人々、あるいは、その昔は神であった須佐之男命(スサノヲノミコト)などを思いおこさせる。



鬼とは神と同じものだったに違いない。




なお、中国語にも鬼を使う言葉が多い気がするが、多分に、かの国の鬼とは死人に関連が強く、日本の鬼とは、かなり起源も性格も違うに違いない。


日本の鬼は、必ずしも怖い、あるいは悪の存在ではないからだ。


そうそう、悪という言葉も、昔はある意味で、たいへん良い意味(強いという意味など)にも使われていた。