天野理香さんから頼まれていたので、仕方なく印度洋三さんの家に行き、菜種油をお裾分けしていたんです。
ええ、中野華子が垣根越しに睨み付けていたのは、知っていましたよ。
だから、もう止めます、って天野理香さんに言ったんです。
だってね、中野華子さんは、今やここらでは一番の力持ち。いいえ、郷でも天野理香さんと1、2を争うんです。
お隣の分限さんに睨まれたらいやでしょ。
だから、私はあなたとお友達だと分かるように、天野理香さんとは疎遠にしたのね。
そしたらどうよ。
印度洋三さんちへは、私が行って、大豆油でも菜種油でも上げますよって。
中野華子さんが手を上げたわ。
ええっ!
どうしよう。
私、天野理香さんにも中野華子さんにも嫌われちゃいそう。
ううん、まるで一人踊りしているみたい。
馬鹿にされているのかしら。