トントン、トントン。
はい、どなたでしょうか?
えー、強盗でございます。お宅のものをもらいに参りました。
そうですか。少々お待ちください。
いや、待てませんが。
はい、では鍵を開けます。でも、暴力はいけませんよ。
いや、暴力をふるわないと強盗になりません。だから、あなたをなぐりましょう。
いや、それはいけませんよ。
強盗さん。もう一度考えましょう。
だって、暴力はいけないって、小学校の教科書に書いてありましたから。
うるせえんだよ。
あっ、そんな!
ほら、私の頭が割れてしまいました。
すごく痛いです。
ね、こんなに痛いことを、人にしてはいけませんよ。
だから、うるさいって言ってんだろ、甘ちゃん。
だって、幼稚園でも、なにがあっても暴力を振るっちゃいけないって習ったもん。
そうかい。
じゃあ、あんた方のお子さんにも、このナイフを……。
それでも、あんたは暴力をおやめなさいって、俺に頼むだけなんだね。
…………。