昨日出しました生物Ⅱ:しま爺いかがわしい大学、もとえ、医科川歯科大学(推薦入試:筆記)の解説と解答です。
さて、問題は鎌形赤血球(医学的には鎌状赤血球)が、個人防御形でもあると言える理由を述べない、というものでしたね。
さて、この鎌状の赤血球に関しては、中学校または高校で習います。しかし、それが貧血に関係することまでは教えても、質問にあるような内容までは教えません。
また、お医者さんでも、稀に忘れている方がいらっしゃるかも知れません。
ですから、この問題は、正確な答えを要求しているのではありません。
ヒントから、いかに推測するか、つまり想像力のテストなのです。
もう一度、設問を見てみましょう。
まず、鎌状赤血球を持つ人が日本には少なく、熱帯に多いということがわかります。
さらに、これがポイントですが【蚊】が媒介する病気とあります。
蚊が媒介する病気には、デング熱、黄熱病、マラリアなどがありますが、マラリアがまず真っ先に思いつくでしょう。
なお、これは設問から外れますが、マラリアは熱帯特有と思われがちですが、そんなことはありません。
シベリアやカナダ、あるいは日本でもありましたが、現在は撲滅されたようです。
ただし、地球温暖化やヒートアイランド現象、海外旅行の普及にしたがって、近い将来、日本でもマラリアの発生があることは、まず間違いなありません。
さて、話を戻しましょう。
マラリアは、マラリア原虫が赤血球に寄生して起こる病気です。
正常な赤血球ならば、マラリア原虫も正常に成育し、やがて重篤な症状をおこさせます。
しかし、鎌状赤血球は、マラリア原虫の成育途中で破壊してしまうため、マラリアの症状を発しないか、重篤な迄の症状を伴わないことが多いわけです。
ですから、鎌状赤血球というのは、普段の生活においては貧血の原因となるものの、マラリアに対しては防御をするために進化、あるいは自然淘汰されたものだ、とも言えるわけです。
繰り返しになりますが、いかがわしい、いや医科川歯科大学では、このような答えを期待しているわけではありません。
ヒントとなる言葉から、どんな推理を立てられたかが重要なのです。
さあ、あなたはどうでしたか?
★★★★★★★★★★★★★★
あとがき
私は、医学にはあまり関係のないことしか学んでいませんので、多少表現に問題があるかも知れません。
なお、かつてこのような記述問題が、公立医科大学の推薦入試にでたことがあります。
研究には、主に2つの方法があると思います。
1つは、もくもくとデータを集め、そこからある推論を出すもの。
もう1つは、初めに推論をし、実際にそれが正しいのかを検証する方法です。
前者は、黄熱病の野口英夫、後者はロゼッタストーンを解読したシャンポリオンが、その代表でしょう。