
そいつは、好きとか嫌いとかいう高尚な感情を持ち合わせてはいなかった。
ただただ本能の赴くままに、そう、本能以外の何物でもなかった。
確かにライバルは多かった。
が、いつの間にか、そいつらはどこかに消えてしまっていた。
彼女のスタイルは……。
いや、スタイルなどどうでもよい。
お腹が肩より太かろうが、自分より立派な体格をしていようが、そんなことは取るに足らないことだった。
木枯らしが吹き始める11月。
男は、誘うでもなく、また誘われるでもなく彼女に近づいた。
一瞬の愛。
いや、永遠の愛。
究極の愛。
男は今、彼女の赤く大きく膨らんだ胃袋の中へ、新たなる生命の糧となるべき運命の道を進んでいるのであった。
