
“栃木に名物なし”
そう言われていた。
私の生まれた栃木県は、今でこそ宇都宮餃子や日光ゆば、あるいは那須牧場(那須高原で育てているとは限らないが)の牛肉などで、一部のグルメファンと呼ばれる方たちには知られるようになった。
が、元々、この地域にはこれといった名物、食品産業はなかった。
というのは、関東平野内陸部にあり、寒暖の差がやや激しいというものの、台風の被害にも地震にも、また旱魃の心配をすることも、他の地域と比べたなら、全くと言ってよいほどなく、それゆえ、へたに欲を出さずにそこそこ暮らしていれば、なんとか暮らせたからだ。
こういう土地にあっては、あえて名産物なるものを作る必要は生じない。
日光に東照宮が建てられ、この地域では早くから観光産業が発達はしたものの、日本最初の学校と言われる足利学校にしろ、源平合戦では珍しく花を添えている扇の矢当てで活躍した那須与一の故郷であり、古代中国の妖女の成れの果てと言われる殺生石にしろ、あまり観光商売というものをしていない。水戸光國が発見した日本三大古碑の一つのある湯津上など全く観光地のかの字もない。
首都移転先の有力候補にあげられるのは、地理的安全と同時に、これらも考慮されているのかな?
特産物がないと言ったが、かんぴょうはダントツ。イチゴの生産もトップレベルだろう。
なお、最近は作らなくなってしまったようだが、この県独特の食べ物に“しもつかれ”または“すみつかれ”と呼ばれる、鮭の頭と大根おろしや大豆などをつかった料理がある。
初めての人には、エーッという外見の食べ物だが、栄養学的には素晴らしいものに違いない。
私も、もう30年位食べていない気がする。
なお、最近日光猿軍団が売れだし、栃木には猿が多いということがバレてしまった。
私は今千葉に住んでいる。
が、実は我が家にも携帯を私より上手く使いこなす猿が何匹か住んでいる。
さて、やっとその猿山に、たどり着けそうですな。