インターネット社会の怖さ | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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“えっ?!”
雪江はそう言ったきり、しばらくパソコンの前で金縛りにでもあったようになり、全身が固まった。
少しするとそれは、破壊的とも言える怒りに変わり、ガタガタと肩が揺れだす。
液晶画面には、信夫からの信じらんないメールが写し出されている。

“お前があんなにアバズレとは思わなかったぜ。ひょいひょいヤツについて行って、ああ!昨日の夜はどこで何してたんだよ。言えねえよな!とにかく、呆れた。ほいじゃな。もう、電話もメールもよこすなよ。嘘の言い訳なんか聞きたくねえしー”


なんなの?
あたしが何したっていうの?
昨日?
トモミちゃんとこへ泊まったの知ってるでしょう。
ヤツって誰よ。
何バカな勘違いしてるの!




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信夫は、番号を覚えるのが苦手だ。

だから、パソコンの暗証番号も携帯のネットワーク暗証番号も、いやATMの暗証番号さえ、皆同じだ。

つまり自分の誕生日をあてている。



雪江に届いたメールは信夫が発信したものではない。

以前付き合っていた彼女が、腹いせか遊び半分にいたずらしたものである。


が、結局は、このメールが二人を分かつことになるのだった。






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普通“なりすまし”と言われる行為は、個人が別の誰かになりすまして行動することだ。


が、インターネット社会では、複数の人間が連帯して1人を演じるような場合もある。

アメブロのように、かなり管理がしっかりしており、かつ、通報システムなどがあり、運営のための広告費用が潤沢に入る場合は問題ないが、これらに乏しい小さな個人運営に近いサイトなどでは、あからさまな個人攻撃やなんらかの営業に関与すると思われるものも少なくない。



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自分しか知らないと思われるメールなども、しかりであろう。




例えば、私の会社のパソコンには、私の名前で発信され、さらにめぐりめぐって私に転送されてくるようなメールも、日に何通かあるのである。