暁を背に、海を走る大きな鳥が岸辺に着いた。
住民たちはバナナの陰に隠れ、じっと成り行きを見守っている。
と、大きな鳥の中から浅黒い人たちが出て来たではないか。
最後に、6人の男に担がれて、光る布に覆われた箱がゆっくりと浅瀬を渡って砂浜に運ばれてくる。
と、光る布がかすかに揺れた。
海を走る鳥に乗ってやって来た人々が、一斉に砂地にひれ伏し、しっかり砂に頭をつける。
浅黒い人々の中にあって、肌が白く、やはり光る布を纏った男だけは、膝を折りながらも、顔を箱の方に向けていた。
と、その男の口から、天を響かすような声が出てきた。
アアー・マアート・サアー・ラー・ターウィー・カー・アメン
アッハ・スシャーム・メルコット
ホトホル・バーッ・メルエン・アッハッ!ミツライム・イアウ、イアウ、イアウ。
声が止むと静寂が訪れた。
先ほどまでけたたましく鳴いていたインコたちも、何かを畏れ静まりかえっている。
光る布が開いた。
と、その全身から黄金色の光が放たれた。
特に胸のあたりにある丸い物からは、間違うことのない日の輝きが、バナナの葉陰に隠れた住民たちの目を焼いた。
あれは神だ。
日の神だ。
住民たちは即座に、その透き通るように白い肌を持ち、光で覆われて現れたのが神であることを直感した。
神はあたりを見回してから、また静かに光る布に覆われた箱に戻った。
イナーウ
例の男がまた声を出す。 肌の黒い男たちがほっとしたように頭をあげた。