
例えば、地球以外のある星からヒト程度の知能をもつ生物がやって来たとしましょう。
果たして彼らに、人間の男と女の違いはわかるでしょうか。
多分難しいことでしょう。
しかし、男女雇用機会均等法(あくまでも機会であり、雇用とは言っていない)なんていう法律をお考えになった方でさえ、男と女は違うのだ、ということを理解しています。理解しているからこそ、そのような法律ができたりするわけです。
ところで、ムラムラとイチャイチャも、一見似たような雰囲気の言葉に見えますが、全く異なるものです。
ムラムラとは、主体が自分。つまり、個人の中で妄想をふくらませ、やがて自分がコントロールできなくなる状態のことです。
一方、イチャイチャは少なくとも二人の間に共通する何かがあり、お互いにムラムラしているのかも知れませんが、個人の中で膨らんだ妄想の中に埋没することはありません。
まあ、見方を変えれば健康的だ、とも言えるでしょう。
宇治拾遺物語だったと思うのですが、こんな話があります。
道路に水溜まりができ、うら若い女が立ち往生していた。
若い僧は、女を横目にやり過ごしたが、年老いた僧は女を抱き抱え水溜まりの中をじゃぶじゃぶと渡り、向こう側に連れて行ってやった。
ここで若い僧が、老僧に非難めいたことを言います。
本来、仏に仕える身の者は、じかに女を見ることさえいけないのに、あなたはその肌にさえ触れた。僧として失格ではないかと。
そこで老僧が答えます。
確かに女に触れただろうが、私は女としてではなく難儀しているものを助けただけ。それに反して、お主は心の中で、女を思い、その肌に触れていたのではないか、と。
若い僧に、返す言葉はありませんでした。
ムラムラとイチャイチャの話には直接関係がありませんが、どちらが心の中がエロチックであるかを暗示している話と思いませんか。