小説:双詩創愛 その5 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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時が流れ、樫丘の宮に住む帝が重い病にかかる。あまたの女御をいたづらに留め置くことに憐憫の情を感じられた帝は、まだ目通りのなかった多くの女たちを家に帰すことを命じた。 


ある日のこと、男に婿入りの話がもちあがった。今まで何度も親戚・縁者らの持ってきた話はあったが、男はあの柿の葉の女のことが頭から離れず、何かにかこつけてはことごとく断っていた。 

しかし、今回ばかりは勝手が違う。両親が話し合って決めたものだからだ。 


男は、自分の詠んだ歌をもう一度柿の葉に書き、拾った女の柿の葉とともに桐箱に入れ、その桐箱とともに婿入りをしたのだった。 


        つづく