
田舎生まれの私は、ヨーグルトはおろか、チーズを食べたのも大人になってからである。
ヨーグルトを初めて食べた時の印象は、これが人間の食べるものか?ぐらいのイメージであった。
こんな牛乳の腐ったようなものが食べられるのか?
が、正直な思いであったのである。
が、仕事で足掛け1年ほどフランスに住んでから大きく変わった。
私の滞在していたのは、今でこそ日本でも有名になったボジョレーの産地、フランス東部のブルゴーニュ地方である。
そこは、ブルー・デ・ブルーという、青カビたっぷりのチーズの産地としても有名である。
いやあ、ここで食べたヨーグルトはうまかった。
彼らは毎朝、ラーメンどんぶり一杯くらいヨーグルトを食べたりする。
確かにうまい。
日本のファミレスのようなものはないが、一人でも入れるレストランには、ドリンクバーに似たシステムの、チーズ食べ放題があったりする。
何十種類のチーズが並び、まるでスーパーのチーズコーナーのようだ。
確か50フランくらいだった気がするから、当時のレートで邦貨1000円強。
フランス人にとっては相当高額だが、日本でオーダーしたら万札が飛ぶくらい、いろいろなチーズを楽しめる。
それ以降、私はチーズはもちろんヨーグルトも好きになった。
日本で売っているブルーチーズの多くは、やたらいやな風味の香料が入っているものが多く、今でも食べにくい。
が、ジュラ山脈麓に工場がある、地元では知られているところのそれは、香料なし。
なかなかうまいです。
ところで、チーズやヨーグルトと言うと、最近日本に入ってきた食品と勘違いしている人が意外に多い。
日本に仏教が輸入されてから、あるいは儒教の影響かも知れないが、確かに平安以降は、日本ではあまり乳製品を食べていないようだ。
が、それ以前には、日本貴族たちがヨーグルトの類を食していたらしいことは、中学受験を控えた子たちなら常識だろう。
織田信長は牛乳好きの変人という見方が多い。が、彼は昔の日本人の真似をしていたのかも知れない。