
100年に一度と言われる大変な時代が、すぐそこまで来ている。
20年以上昔、ブラックマンデーと呼ばれるウォール街の株価下落から、世界中が大激震に襲われた。
円はみるみる高くなり、それまで輸出に頼っていたメーカーは、国内生産の道を閉ざされ、海外へと生産拠点の変更を余儀なくされた時代があった。
一方で、円高から割安感に海外旅行も一般化した時代でもある。
その少し前までは、日本人の海外旅行は、まだまだ高値の花であり、ましてや国内旅行感覚で行くことなど、想像もできない時代だった。
が、歴史的な世界恐慌の中でも、日本は知恵を絞り、なんとか耐え、ブラックマンデー以前よりも力をつけてきた。
が、どうも今回は様相が違う気がする。
というのは、ブラックマンデーの頃には、まだ、日本は頑張らねば!といった空気が残っていたように思われる。
では、現在、どれほどのその気力、意志、自信があるのだろうか。
政治家も必死だった。
政治家とは、ある意味で最高のアクター、アクトレスではなくてはならず、それなりのパフォーマンスも必要だ。
一方、日本のように裏方が極めてしっかりしている国家では、国会議員が寝ていようが、漢字が読めなかろうが、大概のことは問題なく進んできた。
ある程度海外駐在経験のある方なら常識だと思うが、日本は自由主義国家である。が、おそらくこれほど官僚管理国家である国は、世界に例を見ないだろう。
私は、それ自体を非難するわけではないが、あまりにも、政治家の政治家たらんことを忘れてしまっているようで嘆かわしい。
なぜ、こんなにも哀れな政治家が増えてしまったのだろうか。
大きな原因の一つに、マスコミがあげられる。
残念ながら、日本のマスコミは、あまりに幼稚なのだが、大きな力を持つ。
宮沢元首相が退陣に追い込まれたのは、墓穴を掘ったせいもあるが、見方を変えると、ささいなことで辞めなくてはいけなくなった原因の一つは、マスコミだろう。
また、良し悪しはさておき、おそらく最後の首相らしい首相である佐藤栄作もしかり。マスコミに怒りを顕にし退陣した。
田中角栄もまた、同じだ。
彼の場合には、日本のマスコミなんていうちゃちなものではなく、はるかに大きい力が動き、日本のマスコミは単に踊らされただけであろうが。
しかし、表面上は、正義の日本のマスコミが勝ち、悪者の政治家が塀の中に入った。
こうして、日本の政治家は歪曲化、軟弱化していった。
今、政治家が最も恐れているのは、節操のない幼稚なマスコミだろう。
しかし、マスコミばかりに責任を押し付けてはならない。
というのは、彼らはそうしたことが正しいという教育の中で育てられ、正しいとされたことを実行してきただけだからであるし、私たちも長らく続く平和の中で、軽薄短小のマスコミに拍手喝采を送ってきたからだ。
だから、モンスターparentsが生まれ、ノイローゼの教師が増えてくるのである。
そうさせたのは、偏屈した、マゾヒズム的な教育によるところが大きい気がする。
この表現は、人によっては反発をするだろう。
が、私はかなり事実に近いと思っている。
では、なぜそれほど卑屈な教育になってしまったのか。
私は、さらにさらに大きな力、欲、流れを感じるが、とてもそれを確かめることはできないし、おそらく吉田首相のお孫さんでも、それに触れることは無理かも知れない。
日本に、今必要なもの。
それは、私たちが失ってしまった健全な教育だろう。
しかし、これは日教組のような小さいグループだけに焦点を当てるのは、大きな誤りかも知れない。
その対象など、今さら考えても仕方ない。
とにかく、早急に教育の改革を行い、私たちは自信と力を取り戻す必要があるだろう。
ただ、残念ながら、いささか手遅れの感がないでもない。