
多分ですが、口に出して言ったことはないでしょうね。でも、思ったことは、何度かありますわな。
この話題に、人をからませない方がいいのかなあ。
どうも、ドロドロとしたものになりそうだから、食べ物とか、風景とかに限定して逃げてしまおう。
さて、まずは食べ物からいきましょうかね。
これは先日の記事でも書きましたが、キングコブラチャーハンでしょう。
とにかく、初めての味。
油でご飯がテカテカしているにもかかわらず、信じられない透明感があるのです。
喉の中にすんなり入っていき、口や胃袋ばかりか、体全体が美味さに喜んでいる。
まあ、そんな感じでしょうか。なにか他の食べ物に例えたいのですが、私にはこれに似た食べ物をあげることができません。
しかし、それではさっぱり分からないでしょうから、無理にでも表現しますか。
そうですね。エクストラ・バージンのオリーブオイルで自生シメジを炒め、そこにブリかハマチの頬肉を混ぜ、養鶏場ではなく放し飼いにしているニワトリの新鮮な肝臓を少し加えて再度炒めた後、軽く塩胡椒し、蒸したイシダイの白身でもまぶしたような味、食感です。
あらっ、余計わからなくなってしまいましたかね。
では、風景では。
これが意外にない。
私が初めて出張したシンガポールに着いた時も、あらっ、どこが海外なんだ?という気がしましたし、タイのチェンマイなどは、田舎に帰ったような錯覚さえ起こしました。
うーん、そう言えば、大学生の時、北海道・礼文島に行った時は感激しましたね。
海の向こうに浮かぶ利尻富士、小学生の時から夢に見たレブンウスユキソウとの出会い。
何より、その島で出逢った女の子との数日間は、若かりし頃の、一番胸踊った日々だったかも知れません。
また、スイス・ジュネーブに近いジュラ山脈の麓の町での、冬の風景も忘れられないものがあります。
とにかく、1ヶ月も太陽が見られないことがあるのです。湖沼が多く、冬の間中ずっと濃い霧に包まれます。関東生まれ、関東育ちで、冬は太陽が出るのが当たり前という私には、これはダイアモンドダストが降る寒さよりこたえました。
シンガポールへ戻る飛行機の中で、もくもくと立ち上る入道雲と、その後ろにまばゆく光る太陽を見て、知らず知らずのうちに涙が頬を伝わっている自分に気づきました。
その時の白い雲と太陽は、まるで初めて見たもののような感動を与えてくれました。
あって当たり前と思われるものでも、初めて味わう心の震えはあるものです。