ファンタオ博士による十二支考 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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本日は、中国河北省石家荘から、蚊の目スープの効用でお馴染みのファンタオ先生をお招きし、十二支の由来に関するお話をお伺いいたします。 


司会 
ようこそ、いらっしゃいました。 さて、本日は十二支についての新説をお聞かせいただけるとのことですが、先生は日本各地を回られ日本語に堪能と伺っております。 
インタビューは、日本語でも、よろしゅうございますか? 


博士
 ごっつぁんです。なんも、問題なかとよ。 



司会 
 おお、先生は相撲にもお詳しいようですね。それと博多弁でしょうか……。


博士 
 そげんこと、なか。ばってん、九州場所の巡業のかき割りのバイトばやったことは、ありもうす。 


司会 
 どおりで、九州弁がお上手なわけですね。 



博士 
 うりゃ、何いうてけつかんねん。あんたアホちゃうかぁ。そないは褒め言葉ちゃうねん。見え見えのお世辞はやめとき。 


司会 
 (汗)ええ、先生は文化に造詣が深いため、関西の広い層にまたがるお言葉にも、精通していらっしゃいます。 

さて、それでは早速、本題に入りましょう。 
先生は、十二支に関して、従来の説にない、新しい説をお立てになっていらっしゃるとのことですが? 



博士 
 あんたはん、司会やろぅ。せやったら、あとちぃと言わはること、注意せなあきまへんなぁ。 
ええかぁ、従来にない新説いわはりましたが、従来ある新説なんはありまへん。
せやさかい、今あんたはん言わはったんは、馬から落ちて落馬して、赤い顔して赤面するのとおんなじやん。
気いつけな、あきまへんわなぁ。



司会 
 失礼いたしました。 
ほな、早う説明してくれへん。 
あっ、視聴者の皆様、失礼いたしました。ついつい、つられて故郷言葉を出してしまいました。 

では、先生お願いします。



博士 
 十二支いうのは、皆さん知っちょるように、














十二の動物からなっとります。せやな? 



司会 
 は、はい。おっしゃいます通りです。 



博士 
 で、君は、なんか気づかんかね? 


司会 
 は、はあ。 


博士
 ええかぁ、この動物の字ばよう見てんしゃい! 



司会 
 ……。 



博士 
 なんか変と思わんかね。 



司会 
 そう言われますと、普通に私たちが漢字にする時と、違う漢字を当てていますね。 



博士 
 そうや。そこがカニ味噌なんや。 


司会 
 カニ味噌?あっ、いいえ、はい。 ええ。 



博士 
 なんで普通と違う漢字つこうとるかわかるか? 



司会 
 さあ、私には見当がつきませんが。 



博士 
 しゃあないなあ。
ええか、これは世界中共通なんじゃが、あるものが神になったりすると、呼び名や字が変わるんじゃよ。 
例えば古代エジプトやメソ・ポタミアではな……、いや、これを話すと番組が終わっちまうからよすか。 
まあ、中国でも日本でも、帝の名前と同じ字があったら、自分の名前や漢字を変えたもんだ。 
十二支の動物の場合は、その反対だわな。 

動物から神に昇格したんで漢字も変えたってわけだ。 


司会 
 はあ、そうだったんですね。初めて聞きました。 



博士 
 当たり前じゃよ。わしが考えたんじゃよーん。 



司会 
 はあ、わかりました。先生の新説の味噌というわけですね。 



博士 
 このボケ、シドミ、ナス、花提灯。
そんなことは、ちいと考えれば誰でも分かることだべよ。 そんくらこったで、新説だどってはんずもなぐ、のべれったれべっかはずねえべってんだ。 



司会 
 すみません。大変饒舌でらっしゃいますので、わからない、いや、聞き漏らしましたので確認したいのですが、それではないということでよろしゅうございますか? 



博士 
 んだ、んだ。

いいが、われ見つけたんはな、十二支の動物と月の関係だっちゃ。

んでもって、それぞれの月に応じた動物あてがって、神様っうより、まあ、天災・人災含むんだが、一年無事に暮らす為に、それぞれの月に暴れそうな動物さ神様として祀って、なんとかさあ、いい年送るっていう願いださぁ。 



司会 
 はあ? 
ええ、大変たくさんのことを一度におっしゃられましたので、一旦ここでまとめさせて……。 



博士 
 なんですか。あなたは、私の言うこと分からないということですか? 



司会 
 いいえ、とんでもございません。ただ、大変重要なことを、たくさんおっしゃられたと存じますので、ポイントをまとめたいと存じまして。 


博士 
 まどろっこしいわ。 
それじゃ、わしが分かりやすく、もう一度説明しちょるわい。 



いいですか。
十二支の動物たちは、神様だ。

だから、漢字も普通の動物を表す時と違う。

その神様は、月毎に決まっている。十二支の順番どおり、ネズミは1月、ウシは2月という風にして、イノシンの12月まである。 


なんで、1月がネズミかというとな、1月になると正月用の餅やら米やらをネズミが狙うんだわな。 
ネズミに倉を荒らされちゃたまんない。それでネズミを神様に祭り上げて、どうぞお米を供えますんで、倉の中は荒らさないでくださんしょ、となるわけだ。 

2月のウシってのはな、この頃んなると干し草も底を尽きてきて、ウシがイラついて暴れたりするんじゃよ。

これは、3月のトラも同じだ。腹をすかしたトラが人家を襲ったりする。 

4月のウサギはな、せっかく芽の出てきた野菜を食っちまう。 



5月タツ。タツというのは、滝の神、水神と同じだ。この時期の水しだいでイネの生育がきまる。また、へたに暴れられたら、家までもっていかれる。 


6月ヘビ。 
こりゃ、説明せんでもわかるじゃろ。田んぼの草取りの時、一番の敵は毒蛇だ。 


ああ、もう疲れたわい。 



あとは、自分で考えてくださんしょ。