クルンテープ(天使の住む都) 4 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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タイの水祭り『ソンクラーン』も終わり、いよいよ激しく照りつける太陽の下で、地元の子どもたちが追いかけっこをしている。

『サクラ』の木陰では、空缶を置きむしろに横たわる浅黒い肌をした女と乳飲み子がいて、そこだけ街の喧騒から切り離された空間を創造している。

おそらく、北東部あたりから食にありつくため、天使の住む都へと辛い旅をしてきたに相違あるまい。


地球温暖化のせいかどうかはわからぬが、タイ東北部の旱魃は年々悪化している。
農業に頼ってばかりでは、日々の食さえままならない。
いや、一部の地域では農業自体崩壊寸前なのである。

夢をつかむために、クルンテープへ上京してくるのではない。



そこでは生きていけないから、今夜の、明日の一口のために、泣く泣く故郷を後にしてくるのだ。


タイ国民5500万人の3割近くが、クルンテープに集まり住んでいる。



日本のように、極めて貧富の差が少ないわずかな例外はを除けば、クルンテープもまた、世界の大都市同様、一握りの富裕層の下に無数の貧困者たちが、ひしめきあいうごめいている。


多くの大都市は、その建物に似て、木の温もりのない、鉄の冷たさが支配する、目には見えぬ砂漠なのだろう。


学生時代はパン1個買うにも悩んだこともあったが、とても彼らとは比較にならないなあ。

私は、何年たっても、常に心の中にあるほろ苦さ(しかし、今では甘いものへと変わりつつある)に、目の前がぼやけ始めた。



「ねえ、奥さんも一緒なの?」


少女の声が、私を現在に呼び戻した。




・・・・・・・・★注 
この記事は、時間指定で出しています。爺は今仕事中ですので、ペタのお返し、夜になります。
ごめんなさい。


★to the person who gave me peta.
Sorry,I will retern the peta tonight,as I am working.
Thanks and best regards.