中学生の青春物語です。
瀬尾さんが書けば
ヒューマンドラマとして
楽しめます。
中学の陸上部、駅伝についての
物語です。
個人の表面をなぞるだけではなく
一人ひとりの抱えている
トラウマやコンプレックスを
丁寧に描いています。
抱えている悩みは人それぞれで、
スカッと解決、という
単純明快なストーリーでもない。
しかしそれが良い。
トラウマやコンプレックスは、
一気に無くなるものではない。
人によっては、一生消えないもの。
その重さや荷物は
誰かに少し持ってもらうことで
心と体は少し軽くなる。
駅伝を走る
6人のメンバーそれぞれの物語が
短編集のように区切って
構成されています。
顧問の女性教師もいい味出してます。
瀬尾さんの描く、ゆるい性格の女性。
特に感動したのは
2区を走る、不良少年の物語。
どうしようもない不良少年に、
声をかけ続けてきた教師がいました。
その教師が2区の終盤で
大声で応援します。
今まで邪険に扱ってきた教師の応援。
不良少年の孤独を埋めた瞬間でした。