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【感じる力、共感する力】

「自分の気持ちが分からない」と言ったらオカシイと思うだろーか?・・「周りの人の気持ちが分からない」と言ったらヒドイと思うだろーか?

ヒトにとって「感じる力、共感する力(=社会性)」は、とても大切なスキルだろう。

でも、それは生まれつき備わっているわけじゃない。・・周りの人と接しながら学び、励まされたり傷つけられたりしながら時間をかけて身につける必要がある。

わけあってこのスキルの基礎を習わず・躓き・身につけられなかった者は、大概ヒドくてオカシなヒトになる。・・≪本当は教えなかった人の方がヒドくてオカシイと思うけど。・・≫

また、このヒトたちは、親になっても子どもたちにこのスキルを教えるコトができない。・・泳げない人が泳ぎを教えられないように。

だから、伝言ゲームみたいに一人でもコレに躓けば、子々孫々までオカシさやヒドさが連鎖してゆく。・・

ブリキはこれを「ややこしい呪い」と呼び、このブログのテーマにしている。

今回は、この「ややこしい呪い」について、少し考えてみる。

【必死の追いかけっこ】

まず、この呪いは、舌切り雀のツヅラみたいに八百万の苦しみが詰っている。・・心理学者のアルフレッド・アドラーは「人間が抱える問題は、すべて対人関係の問題である」と言ったが、それを濃縮して造った結晶なんじゃね?

極めつけは、「次は自分が親しい人にその呪いを掛け、むごい苦しみを与えてしまうコト(=世代間連鎖)」だろう。被害者から加害者への死線を越え、連鎖の礎と化してしまう。

ブリキはそれを避けたくて、子どもたちと必死に追いかけっこしている。・・ふと気づくと周回遅れのインナーチャイルドも一緒に駆けている。まるで『ちびくろサンボ』でトラたちが木の周りをグルグルと回り、バターに成ってしまうように。

つまるところ、このブログ「ブリキの子育て」は、この「必死のグルグル」のお話しと言える。・・(←行き着くところ、ドロドロになるってコトか?)

【ミラーシステムという小人】

この連鎖は、「ミラーシステム(=小人。情動伝染)の働きによる。・・この小人により、スマホのファームウェア更新のように重要なプログラムが伝送され、簡単には書き換えられない記憶域に書き込まれる。

本来この小人は、生きるうえで大切なスキル(=人類の叡智、ソーシャルスキル)を伝えるために、親子や恋人など親しく信頼できる人同士の間で働く。親が正しいスキルを身に付けていれば、後は小人が子孫たちへと伝承してくれる。

が、親が正しいスキルを身に付けておらず、プログラムにバグ(不具合、つまり呪い)が含まれていたらどーなるのか?

おそらく、バグの有無や親の善意/悪意とは関係なく元のプログラム(親のスキル)がそのまま複製(ミラーリング)され、赤ちゃんに伝送され刷り込まれる。

つまり、問題は、仕組み(ハード)ではなく、中身(=ソフト、コンテンツ、スキル)にある。・・と言いたい。

【手のひらから飛び出すことができたら】

この問題を解くため、統計や人工知能(AI)の手法が参考になる。

すなわち、自分や家族に問題(=データの偏り)があるなら、もっと参照範囲を広げればイイ。そこで、視野を「自分」→「家族」→「コミュニティー(=近所・学校・会社など)」→「国」→「世界」と広げてゆく。・・

ところが、この問題(=偏り)は解消しない。・・(←まるで三蔵法師が正しい教えを求めて旅をすれども、どーゆーわけか妖怪ばかり出てくる。)

ここで、諦めずにもう一歩進める。奇跡のリンゴ」の木村さんのように、視界を「人間社会」から「自然」へと広げてみる。

すると、偏りが解消し、問題が収束し始める。ここに運命を分ける境界線(=壁)があり、呪いの源があると思える。・・

【人間と自然を隔てているモノ】

次の書籍でも「都市(=現代社会)」と「地方(=自然)」の隔たりが指摘されている。

人類は、獣や自然災害から身を守るために都市という要塞を築き上げてきた。・・

が、それに守られているうちにいつしか「自分が自然の一部であること」や「独りでは生きていけないこと」を忘れてしまった、と。・・

もし、そこで生きてゆけるなら、も~社会性なんて要らないのだろーか?

試しに次のように置き換えてみると、お釈迦さまがその答えを教えてくれるかもしれない。・・

「文明(=都市・マネー・ネット・武器・原子力・巨大堤防・農薬・粉ミルクなど)」「筋斗雲」に、

「自然の摂理」「お釈迦さまの手のひら」に、

「現代人」「おサルさん」に。・・

【筋斗雲から降りてみる?】

最初ブリキは、この「ややこしい呪い」を、アダルトチルドレン(=少数派)だけの問題だと思っていた。・・アダルトチルドレンは「どーしたら、この苦しみから抜け出し、普通の人たち(=現代人、多数派)に追いつけるのだろうか?」と。

ところが、普通の人たちに目を向けると、彼ら/彼女らも同じ問題を抱えていた。・・人類は「どーしたら、この閉塞感から抜け出し、もっと幸せに生きるコトができるのだろうか?」と。

でも、両者は同じ問題を抱えていた。と思える。

試しに、現代人を苦しめているは、元々は自ら(先人たち)が、外敵から身を守るために築き上げたモノだったのならば、アダルトチルドレンを苦しめているも、自ら築き上げたモノ。となる。

(↑虐待、ネグレクト、依存症による家庭崩壊等(=逆境的小児期体験)から身を守るために解離する必要があったのだろう。)

いずれにしろ、壁が邪魔になったのなら、も~維持する必要はない。自分たちで築き上げたのなら取り外すのも自分たちでできるハズ。(というより、自分自身にしか外せないのだろう。)・・ならば、先ず自らのスキルを見直さなければならないのだろー。

(↑例のおサルさんは、自慢の筋斗雲から降りて、自らの足で天竺を目指したでしょ。)

【いま、できること】

次の本では、森火事に一滴ずつ水を運ぶハチドリの話しとそれに共感する人たちの話しが集められている。

地球温暖化、戦争、飢餓・・・。ぼくたちの生きている世界は深刻な問題でいっぱいです。しかしぼくは、これらの重大な問題よりさらに大きな問題があるという気がします。

それは、「これらの問題に対して、自分にできることなんか何もない」とぼくたちがあきらめを感じてしまっていること。

もしもこの無力感を吹き払うことができたら、つまり、「私にもできることがある」と思えたら、その瞬間、ぼくたちの問題の半分はすでに解決しているのではないでしょうか。

いま、ブリキにできるのは、この「ブリキの子育て」に取り組むコトだと思っている。・・

で、こんな風に、必死に追いかけっこしてるうちにこの呪いの正体は「人権侵害」だと思えてきた。だから、これほど根深く、関わる問題の範囲が広く、あらゆる苦しみが詰まっているのではないかと。・・

もしそーなら、この呪いを解き負の連鎖を止めるコトができれば、アダルトチルドレンだけでなく、イジメ、差別、貧困、凶悪事件、テロ、戦争など、ぼくたち(現代社会)が抱える深刻な問題も無くせるのかもしれない。・・・とグルグルする。