著者: 谷崎 光 タイトル: 中国てなもんや商社
中国の暴動に、私たちの注目は一気に高まったと言える。
それは、一時期の「中国市場開拓時代」以来ではないだろうか。
だが、その当時は、"経済"面での話しであって、決して"政治"的な局面ではなかったわけで、また私たちは新たに「中国というお国柄」にカルチャーショックを覚えてしまったわけである。
「愛国(反日)教育」というものを、初めて知った人も多いはず。
でも、この真偽を語る前に、私たちには「どうしてああも中国人は一方的なんだ」 という思いが浮かんできては消え、また浮かんできては頭を抱えてしまう。
そもそも、「愛国教育」なるものが存在すること自体、中国人にとって当然のことなのが、私たちには不思議なのだ。
やっぱり、風貌は似ていても、中国と日本は、全く文化の異なる国 なんだと実感するのだが、ならば、その「私たちとは違った感性」の持ち主は、どういった人たちなのか、そこから見えてくることも多い。
ということで、思いついたのが、この『中国てなもんや商社』 の本であった。
この本は、中国市場開拓時代の初期の初期、日本の商社が安い人件費に目をつけて、そこに市場開拓しようとした頃の話。
その中堅アパレル商社に勤めるOLの実話である。
ある国で商売をしようと思うなら、まずその国の人柄・お国柄にぶつかって、ある意味闘わねばならないのである。
そんな激・バトルを、"痛快" に書き下したのがこの本である。
はっきり言って、「面白い!」のだ。
苦労を笑いに変えられる著者は、アッパレ!!
この本を私が知ったのは、上海に赴任した経験のある元彼が、私に「俺の苦労はこれと同じだった」と、彼の部屋にあったものを貸してくれたことから始まる。
なので、この本の話は、ただのノンフィクションではなくて、リアリティー溢れるものと、私は思ったものだ。
~てなもんや商社のシチュエーション~
「注文した製品が届いてません!」
「いいや、私たちは確かに送っている」
「だったら、税関の証明書を送ってください!」
「そんなの探す必要はない、製品は確かに送ったから」
「期日は昨日でしたよ!」
「工場が、先週の台風で流されてしまったので無理だ」
「じゃぁこれから行きます!」
たとえ、彼女が中国に直接出向いて、納めるはずの製品が作りかけで山積みになったのを見つけても、工場が台風なんかに流されずに以前と同じ位置に無傷であっても、彼ら(中国人)は、謝らないのだ。
「気づかなかった」
「明日送ろうと思っていた」
こういうのを、「いけしゃぁしゃぁと」と言うんだと思う(笑)
確かに、元彼も「まず、期日が守られることはなかった」「何度泣かされたことか」「期日を1週間前に設定しても、当日の朝まで会場作りをした」と語っていた。
そんな彼らのことを、元彼はこう言っていた。
「彼らはね、絶対に謝るという事はしないんだよ」
「彼らとだいぶ打ち解けるようになって、やっと僕の立場を理解してくれた中国人に聞いたんだよ。
『何で一言スミマセンって言えないのか』ってね
…ちなみに、そういう話を聞くこと自体、彼らは拒絶していたんだけど。」
中国人「僕らは、謝ったが最後、何をされるのか分からないという思いがあるんですよ」
「って、どういう意味か、僕なりに考えたんだけどさ、君分かる?
中国って言うのは多民族国家だし、歴史的にも敗者は一瞬で首を持ってかれるということが、普通にまかり通っていたでしょ」
「三国志の漫画しか想像できないけれど、分かるかも」
「うん、だからさ、彼らは、自分たちの命を守るために絶対に謝罪しない、絶対非を認めないわけだよ。それが正しいか間違っているかは、関係ないの。だって、自分の命がかかっているんだよ。」
「でも仕事でしょ??」
「そりゃぁ日本人の感覚。政治と経済を別に考えるのは。」
もしかしたら、あの「愛国教育」というのは、中国という国の、中国という国を守るための行動なのかもしれない。
それが正しいか間違っているかは、関係ないのだと思う。
彼らにとってはね。
「悪いのは、日本だ」と言い放った中国政府の姿も、「てなもんや商社」の面々とイメージが重なってしょうがない。
「悪いのは、説明不足のアナタだ」と突っぱねた李さん(笑)
だから、私は思うのだ。
「中国政府は、今回の件について絶対に頭を下げないだろう」
でも、日本には、謝罪を要求する権利もある。
それは、国際的に見ても、外交的にも、当然の権利。
ちなみに、中国政府は賠償に応じないのに、中国政府ではない別の機関が賠償に応じようとしているのは、「中国」として頭を下げずに、今回の件を処理しようという考えだと私は想像しているのだが。
でも、こんな特有のお国柄のままで、国際社会の中でリーダーシップを発揮していけるかどうかは、ちょっと問題とも思う。
最後に、「てなもんや商社」の映画化が、映画化モノの中での成功例だと思うので、こちらも↓に明記しておきたい。
成功した理由は、主演が「小林聡美」 さんだったから。
めちゃくちゃ!ハマリ役だった。
タイトル: てなもんや商社
とにかく、中国のお国柄に飲み込まれず、「てなもんや商社」でも読んで、痛快に笑い飛ばして、一歩引いた冷静な視点で行こうじゃないか…と私は思っている。