これまでのあらすじ

 2022年秋から構想を練り上げ、春入学式で新加入した部員7名をくわえた総勢21名の和太鼓クラブは秋に開催される学園創設110周年記念の文化祭で『イエス・キリスト』を演目にした。西洋文化に和太鼓で新しい世界を切り開く試みだった。6カ月間右往屈折しながらも発表日を迎えた。美術部、演劇部などを巻き込み観客の心に共鳴を呼び起こす太鼓の音とリズムとなって花咲いた

 

 2024年3月1日、卒業式が開催された。

 校長三島匡は校長室で出来上がった卒業アルバムを見ながら卒業する生徒の一人一人の顔を確認し三年間の思い出を重ねていた。創立記念文化祭に花開いた作品”イエス・キリスト"。完成までに繰り広げられた和太鼓クラブ部員の努力と精誠。その顔写真はさらに強く光輝いているように見えた。

 国語の古文漢文の授業を担当しながら生徒と身近に接していたが深いところまでは解らなかった。

 だが、昨年秋の創立110周年記念の時みせてくれた和太鼓クラブを中心として美術部、演劇部が協力して作品を創りあげる姿をみながら1つの課題に向かって進む『美しさ』に感動を覚えた。三島匡は学園創立110年の伝統の上に出来上がった作品だと思った。

 学園創立に尽力してくださった人たち、これまで卒業していった人々とその父兄に感謝するにふさわしい作品を創作してくれた和太鼓クラブの部員一人一人の努力に感謝した。

 

「和太鼓クラブの演目がイエス・キリスト?何故!」と思った事も有った。また「この学園にキリスト教!?」といった驚きもあってクラブ顧問の遠藤剛吉に時折、進捗を尋ねたり、自分て部室まで足を運んで練習を見に行ったこともあった。

 

今年正月2日の初夢にでてきた四神の青龍、朱雀、白虎、玄武。そして今年は60年に1度巡って来る甲辰年の年。今年の辰を青龍という。

 卒業生に贈る言葉を考えた。

 

 三島匡は卒業生に言った。

 『2024年は辰年ですが、本来の干支でいうと甲辰(きのえ・たつ)という干支になります。

「甲」は第1位、優勢であることを表す他、まっすぐに堂々とそそり立つ大木を表しています。

「辰」は十二支の中では唯一の架空の生き物、龍を意味します。水や海の神として祀られてきた龍は、竜巻や雷などの自然現象を起こす大自然の躍動を象徴するものであり、「龍が現れるとめでたいことが起こる」と伝えられてきました。

 この2つの組み合わせである甲辰には、「成功という芽が成長していき、姿を整えていく」といった縁起のよさを表しているといえそうです。

 辰年は陽の気が動いて万物が振動するので、活力旺盛になって大きく成長し、形がととのう年だといわれています。

 また「辰」は十二支の中では唯一の架空の生き物、龍(竜)を意味します。水や海の神として祀られてきた龍は、竜巻や雷などの自然現象を起こす大自然の躍動を象徴するものであり、”龍が現れるとめでたいことが起こる”と伝えられてきました。

 この2つの組み合わせである甲辰には、「成功という芽が成長していき、姿を整えていく」といった縁起のよさを表していると言えます。

 今年卒業する皆さんはこうした天の運勢の中に有る年に卒業して行くことになります。この学校で経験し学んだ事を土台にこれからも成長していってくれること願っています』と結んだ。

 

 

『神である主、今おられ、昔おられ、やがて来られる方、全能者がこう言われる。「わたしはアルファであり、オメガである」聖書黙示録1:8』

                  (完)

     第2部 灯を掲げる龍の子たち 終わり

〈告知〉

8月26日より第3部 

     投稿予定です