「卒塔婆小町」について
調べようと思い、
スマホを開く。
検索項目を選ぼうとした
僕の指がほんの僅か
下にスルリ、と滑っただけで
その作家の生首の画像が
パッと
開いてしまい、
ギョッとした。

「憂国」

その作品に本当に彼が
託したかったものは
何だったのか、

国への、俗世への憂いか
自身への憂いか
それとも
類い希な美意識か、
凡人の僕に
わかるはずもない。

ただ彼が
ミサイル発射からの
空白の45分間とか
尖閣諸島のこととか
政治家のための政治とか

今のこの国の有り様を
みたら
どんなふうに感じるのか、
そんなことを
ふと思った。

僕だってお粗末だが
日の本の国の血を
受け継ぐ者だ、
少しくらい
この国の行く末を、
案じてみよう。


何故でせふか。
満開の夜桜に思ふことは、
愛しいお方と夜道で
寄り添ひあつたことではなく、
乞食のやうな
或る老婆の姿で
御座ひます。

「ちゅうちゅうたこかいな」

と煙草の吸ひ殻を数へる
かつては絶世の美女と
云はれた
女のなれの果ての姿で
御座ひます。


美しきモノには
煌びやかなる中に
或る種の陰、
儚さ
詫びしさ
残酷さ
が宿つており、
此らが絡まつて
妖艶な光を放ち
みる者のココロもカラダも
虜にするのでせふ

一瞬の美しさを放つて
ハラリと散つてしまひたひ、
と思ふのに
其れが叶はず
ダラダラと生を行くならば
かの老婆のやうな
なれの果てもまた
美しひので御座ひませふ。

栄枯盛衰、諸行無常、
かやふなことを
思ひましたー

ソノ女は
白昼に真夜中に
決まって同じやうな夢をみる。
火の中に取り残された
2人の幼子達と、
彼らが肌身離さず
大切にしているぬいぐるみを
探し出し
炎の中から救い出す夢である。
そして目覚めると
ああ、アタシの中にも
母性、
人間としての慈悲深さが
あるのだわ、と
云ふ思ひに安堵するのだ。

再び眠ると
ソノ夢の続きが始まる。
炎から幼子達を救っては
目覚め、眠っては救う、
ソノ繰り返しで
繰り返す毎に
民家を焼き尽くし
爆発音とともに
炎が飛び散り
迫ってくるのだ。

やがて炎は
幼子達の着物やおしめに
迫り、ソレを脱がせては
素手で消す。
救っては逃げても
母子の行く方向に炎が
迫り続ける。
ついに煤で黒くなった
幼子の背中に
くすぶっていた火が点き
幼子のソレ以上に
泣き叫ぶ苦しみに
耐えきれず
もはやこれまで、
と判断した女は
幼子を抱きかかえ
高い建物の階段を
幼子の重さに
腕がちぎれそうになるのを
こらえながら駆けて
最期の力を振り絞って
両脇に子をかき抱いたまま
地上へと飛び降りる。

地面に叩きつけられるまでの
刹那に

ああ、これで
幼子達を恐怖と痛みから
救ってあげられるのだわ、
アタシは大切な我が子の為には
命をも惜しまないのだわ、と
云ふことに安堵し

日頃から
自分は偽善者だと、
キレイ事を並べて生きて居る
卑しい人間なのだ、と云ふ
後ろめたき思ひを
無意識下の世界が
否定してくれて居るのだと
云ふ、
何とも複雑な幸福感に
包まれつつも
されど
これは夢なのだ、と
夢の中で認識している
何とも奇妙な感覚に陥りながら
ああ、怖かった、と
冷や汗をジツトリとかいて
目覚めるのである。

何のことはない、
ソノ女の
心の葛藤が見せる夢である。