おやすみのくちづけがわりに
いただく
3種類の白いお薬に
色をつけるとしたら、
何色がいいかしら?

桃色、若竹、勿忘草。
白藍、葵、淡黄色。

染め上げたお薬を
慎ましい味の
金平糖にいたしましょう。

ひと粒、ひと粒、
甘美な詫びしさを
ゆっくりと飲み込み
眠りについたなら、

時間も時代も超えて
其処に佇む
愛しいわがキミと
もう
現(うつつ)には
戻らない、
優しい何処かへ―


鮮やかな白が
時間をかけて
ゆっくりと
灰白(かいはく)に
褪せていくように、

僕が過ごした
君との日々も
よせてはかえし、
揺れながら記憶の中から
褪せていくものだと
思っていたけど、

違った。

あまりにもまっすぐで
あまりにも切なくて
あまりにも苦しかったから

今が盛りの大輪の花が
美しく咲いた故に
その重さに耐えきれず
何の前触れもなく
突然
ポトリ、と
地に落ちるように

君との日々の一切が
僕の記憶から
ストン、と
抜け落ちた。


君の
ひたむきで
まっすぐな想いに
ただ戸惑った。
眼差しが痛かった。

君を想った日々を
思いかえし、
たとえ
振り返って
懐かしんでみたい、と
願ったとしても

もう何も残っていない。

紳士ではなく
淑女でもなく、

この世で
たった一対の
かけがえのない
雄と雌で
あるかのように
本能の思うままに
からまりあって
重なった
僕達の夜も

素直になれず
わかりあえなかった
たくさんの
不器用な想いと
もどかしさも

鮮やかなまま
落ちていった。

僕にとって
君は
眩しすぎた。
鮮烈すぎて
怖かった。
君の想いが反射して
見つめ続けることが
できずに
紡ぎきれなかった、
僕達の日々。

今になって僕は
君と恋をするには
蒼すぎたのだと
気づいた。

僕は蒼すぎたのだと。

蒼すぎた故に
本当は愛しくてやまなかった
君を失ったのだと。


某県の知事が
大河ドラマ「平清盛」の初回を
ご覧になって、
「鮮やかさがなく、
薄汚れた画面では
チャンネルを回す気にはならない」
とおっしゃったとか。

ええ、
新聞で拝読しましたの。

…返す言葉が見当たらなくてよ。
ワタクシとて、
物事の感じ方は人それぞれ
だとわかっているわ。
強制するものじゃなくてよ。

でも
お偉い方がおっしゃる
言葉にしては
お粗末ではありませんこと?

生きていくということは、
きれいごとだけでは
決して済まされない、
その時代を生きた人々の
不条理で厳しい現実が
生々しく表現された、
とてもよい回だったと思いますの。
それに…
松ケンの清盛、
眼光が鋭く、
野性的で惹かれるわ。
(〃υ〃)ステキ。


いつも思うのよ。
お金、権力、地位は
それほど魅惑的な
ものですの?

生まれた時は
誰もが
キレイであったであろう、
心の眼を
惑わせ、狂わせるほどの
魔力が潜んでいるのかしら?

お偉い方々の眼には
今、何が一番大切なものとして映っているのかしら?

心の眼を見開いておられますか?
と。

ああ、ワタクシ?
ワタクシは、
今この瞬間しか
映せないのよ。
だって
稀にみる
大馬鹿者ですもの。


―あら、イヤダワ。
そんなに泳がせないで
くださいな。
眼は
其の人の心を露わすのよ。