おそろく有名な建築家の作品てはないだろうけど惹かれる作品というのがある。私の場合、この埼玉県自治会館がそうだ。確か昭和52年の竣工だったと思う。もう4年ほど前、この建物が一番似合う真夏のある日、いつもは外から眺めているだけなのだがふらふらと入り口に入り、定礎板を見たのである。
この無機質な装飾性に乏しい小さなビルになぜ惹かれるのか、各窓の上に無駄に厚く張り出した庇(ひさし)の作り出しているリズムと前面だけに貼られた赤茶のタイルのコントラストによると思われる。それは埼玉県県庁の隅に建っているのだが、県庁の建物との違和感でもある。
もう一点あげると行ったことはないがコペンハーゲンを連想させる建物で、それは私にとっての永遠の憧れであり、もうこの歳になっては叶うこともないコンピュータ科学系の研究室のイメージなのだ。
このことは文章にしてみてわかったことである。