チョコホワイト ホワイトデイ。かなり過ぎてしまいましたが、いつもぺたぺたして下さる皆さんへ♪ホワイトチョコが微妙なようです。クリームとスポンジの間にはブルーベリージャム。ま、フツーに食べれたので良しとします(´∀`)b
無口な友よ、我は語る28「あ」 ヨウスの土産は何にしようかと話している時。 トルクが突然、声を上げた。 何事だろうかと二人も振り返る。「ランディック!」 トルクが手を振って人込みに駆け出す。 残された二人も後を追うと、トルクが青年と握手をしていた。「西寮にいないものだから、驚いたよ」「東寮が気楽で良いんだよ」「ウェデルク直下の家柄だろうに……」「田舎貴族だよ、ウチは」 追いついた二人に気付いて、トルクは紹介した。「オレの同室生のルフェランだ。 こっちの小さいのはティセット。 ランの前の同室生だったんだ」 小さいのは余計だ、と思いながらティセットはルフェランに続いて頭を下げた。 西寮ということは、上等生だ。「で、こちらは、昨日見ただろ? ロスクル子爵家のランディックだ」 やっぱり、と心中でティセットは思った。 貴族嫌いなトルクがわざわざ紹介するなんて、そうそうない。「ルフェランにティセットか。 覚えておくよ」 止めてくれ。 なんて言えるはずもなく、二人はありがとうございますと口にした。 ただ、二人を見る目に嘲りの色もなく、横柄さも感じられない。 好青年なのかもしれない。 貴族だろうと、すべての人間が権力を傘に着ているわけではない。 トルクが良い例だ。 初等生とも気軽に話すので、擦れ違えばあいさつが飛んで来る。 ランディックもそんな人柄なのかもしれない。「ホントはもう一人ツルんでるのがいるんだけど、今日はいないんだ」「それは残念だな。 授業で会えるかい?」「武科以外はオレと一緒だ。 楽しみにしててくれよ!」「もしかして、こっちで見つけた彼女かい?」「ざぁんねん! 男だ。 美人だけどな」「へー……。 それはそれで楽しみだ、な……っと。 こっちも連れが来たようだ」 ランディックがティセットの頭を通り越して、遠くを見た。 手を振ってやけに嬉しそうな笑みを浮かべる。 ティセットも振り返ると、女の子がこちらに駆けて来るところだった。 少女はティセットたちを通り越し、ランディックの腕にしがみつく。「すっごい人込み! エリーを置いて来ちゃったわ!」 ランディックは苦笑した。「フィーナ。 ご挨拶が先だろう?」 ランディックの窘める声に、何のことだろうかと少女が振り返る。 背後の三人に気付いて顔を赤らめた。「すまない。 妹のフィオナだ」「初めまして、フィオナです。 ごめんなさい、皆さん。 お話しの途中だったのでしょう?」 紹介されて、兄と同じ濃い金髪を急いで整える姿が愛らしい。 十五・六歳くらいだろうか。 浅黄色の長衣の裾がフワフワと膝を撫でている。「兄様、そろそろ行かないと」「あぁ、そうそう。 これから芝居を見に行くんだ。 良かったら来ないか?」「どうせ『ふた名の英雄』だろ?」 ここ数年、芝居と言えばそればかりで、さすがのトルクも飽きている。 同じくティセットも、見せ場の台詞を覚えてしまったくらいだ。「いいえ! 今日だけ『北のアキシュ』なんです!」「!」 三人の目の色が変わる。 聞いたことのない表題だ。「行く!」 トルクの声に、ティセットたちも大いに賛同した。
無口な友よ、我は語る27 六年前。 東大陸の南部で一つの抗争が終わりを告げた。 その時に総大将として立っていたのが、“ふた名の英雄”と称される人だ。 まだ十代という若さで一つ目の称号シュークの名を。 二つ目は先代のウェデルク皇帝からフェンの名が与えられた。 故に、“ふた名の英雄”。 小さい頃は誰もが夢見る英雄称号。 もちろん夢見たことがある青年二人は、穴が開くほど熱く見つめた。「本来なら、鞘は黒地に青色の蔦が装飾されとる。 柄は鱗柄に漆塗。 長さはなんと、二メルト近付くあるそうじゃ」「デカ!」 二メルトといえば、トルクより大きい。「そういえば、“ふた名の英雄”だって二メルトあるって言うから、かなりの大男だよね」「南大陸人だっけ? 向こうの人は巨人だらけなんだろ? 俺たちなんて子ども同然なんだろうなぁ」「今どこにいるんだろうね」 会って見たいなぁ、とルフェラン。「遠目でもいいから見てみたいよなぁ」 ティセットも賛同した。 実は二つ目の称号を得る前には、ここラディンネル国にも立ち寄ったらしい。 残念ながら、庶民が軽々しく会うことはできなかった。 元の出身や身分が何であれ、英雄称号を得た途端、貴族も同然になるのだから。「なんじゃ、ティセット。 おまえは文官になって、使節にでも選ばれたらよかろうに」「…………」「父さん!」「な、なんじゃ!?」 ティセットは苦笑いをして、学舎を辞めることを告げた。 そうか、とシドル氏がため息を付いて椅子に深く座る。「惜しかったのう。 あとは算学と史学と……」「法学です」 仕方ないんです、とティセット。 心中でもう一度同じ言葉を繰り返した。 自分に言い聞かせるように。 シドル氏は息子を見て大きなため息を付いた。「このバカも早く辞めんかのう。 検品のときに限って居らんとは……」「…………」「学費を止めてみるか」「怖いこと言わないでくれる、父さん?」 * * 僧侶にとっては祭りは一日だけだが、一般人にとっては翌日であっても祭りの延長だ。 トルクを叩き起こして風呂屋に行き、サッパリした三人。 出店を冷やかしながらも、美味しそうな匂いに釣られて空腹を覚えた。 腹拵えをしながら歩いていると、学生と遭遇して立ち話などした。 昨日のトルクの大声でかなり目立ったようで、その話題が多かった。 もちろん、上等生を見掛けたら隠れた。 こんな日に嫌な思いはしたくない。