「恋心を注いで」⑩ | My-Hero

My-Hero

ヒーローに憧れた夢。

先生。さっきの、どうするんですか?

ん?この調査結果?

はい。

どうするって、今回の問題解決に役立てるだけだよ。

やっぱり、大きな問題になってるんですね。

んー、保護者からも問い合わせが入っているから。学校側も今の状況を色々知りたいんだよ。

それ…大須先生も見るんですかね?

んー…直接見るかは分かんないけど……どうかなぁ?

見せないで欲しいんです、大須先生には。

でも無記名だから、誰が書いたかは分からないと思うよ。。

そうゆうことじゃなくて…

…どうした?七江

可哀想です。本人に見せるなんて、あんまりです。

…うん、そうだな。

見せないようにできませんか?

みんなで話し合わなきゃならないことだから、その中には大須先生もいるし。見なかったとしても、内容は伝わると思う。

卑怯ですよ、そんなの。

卑怯は違うよ。でも、七江がそう思ったって知ったら。大須先生は、きっと嬉しいと思うよ。



だけどな、七江。卑怯って言葉は違うぞ。



じゃあ大須先生の言い分は?私たちからの意見だけ突き付けて、先生の言い分はきかないの?

試験が難しかったのは、勉強してなかったっていう理由もあるんじゃないの?英語とか数学とかは一生懸命勉強するけど、正直体育は後回しにしてたんじゃない?

試験の点数だけで通知表の評価が決まる訳じゃないよね?普段の授業の取り組む姿勢とかも評価対象なんじゃないの?

そもそも大須先生が間違ってたって、真実としてもう断定されてるの?正しいことしかしてないかもしれないじゃん。なのに、これを本人に見せちゃうなんて。ひどいよ。私だったら…私がもし大須先生だったら、きっともう耐えられない。


言いたいことはいっぱいあったのに、全然まとまらなくて。言葉は、全然口から出ようとはしてくれない。七江はせめて涙の方が先にが零れる前に、職員室を後にするしかなかった。





また つづく。