大仏の前では、
人間はほんのちっぽけな存在である。
最終日の京都は、渋かった。
自分の何倍もの大きな体をした仏様と目を合わせると、運命を受け入れるしかないのだと思えた。
どんなに歓喜しても、どんなに嘆いても、産まれたときからもう決められた道なのだ。
仏様は悟ってる。全てを理解し、全てを受け入れる。感情の起伏もなく、達観している。
私には到底無理だ。小さな事にいちいち情が動く。疲れるけど、これが人間の「生きる」ということなのかもしれない。
仏様を仰ぎ見、目線を合わせる。
時間が掛かるだろうけど、すんなりはいかないだろうけど、見苦しいかもしれないけど、「受け止める」ってことだけ決めた。
仏様は私を貶さないけど、私を褒めてくれることもない。だから自分で考えられた気がした。だから今、ここにこうして戻ってこれたんだと思えた。
帰りの新幹線も勿論自由席の私は、何時間も立ちっぱなしだった。足が壊れちゃうんじゃないかと思った。
それと、読んでた本が佳境に迫り、泣いちゃうかもって焦った。感情移入してて、気が付いたら目の中に涙がけっこう溜まってた。このままどうにも動けない状態で、一度のマバタキで全て溢れ流れるようだった。
なんとか堪えて
自分の足で踏ん張って
今、私はここにいる。
ヒーロー、
貴方は今、どこにいますか?
ヒーロー、
今はまだ、貴方を追いかけることしかできないけど
いつか追いついて
同じ道を歩けたら
ヒーロー、
今どこで、なにしてますか?
また みつけます。