拝啓 歯磨き様
食べもの、飲みもの、甘いもの。飴玉やガム、口に入れるもの。全て持ってる虫歯菌。
歯の表面にくっついたり、歯と歯の間に挟まったり。口の中に居座って、虫歯作りに今日も勤しむ。
どおだい?今度の人間は?
ここはとっても住みやすい。けっこう歯磨き嫌いみたいで、色々食べカス残してくれる。そのくせ甘いの大好きで、昨日なんかケーキだよ。
そりゃご馳走だ。よし、決めた。俺様もここに住むとしよう。
いいね。どんどん虫歯にしてこ。いっちょ
人間が寝てる間が勝負。睡眠時間が鍵となる。寝てる間にどんどん増える菌。寝る前に歯磨きしない子は、虫歯菌にとって好都合なんだ。
歯磨きしなければ、虫歯菌のパワーの源、食べカスも豊富だ。菌の数も増えるし、菌自体も強くなる。健康な歯は益々侵され、一層虫歯になってゆく。
ゴゴゴゴゴ
ガガガガガ
歯を削り、歯を溶かし、歯に穴を。
ゴゴゴゴゴ
ガガガガガ
今日もせっせと虫歯を目指す。健康な歯なんて1本もいらない。全部虫歯で埋め尽くそう。
そんなことは、させないわ。
誰だお前?
私は歯の妖精。あなた達は、虫歯菌ね。
妖精だか何だか知らないが、俺様の邪魔をする奴はタダじゃおかないぞ。
尚くん、歯磨きはきちんとしましょう。元気な歯を守るため。ご飯を美味しく食べるため。
だーれぇ?
私は歯の妖精。尚くんに、歯の大切さを知ってほしくて来たの。歯があると、大きな笑顔ができるでしょ。ご飯も美味しく食べれるよ。
うん。ご飯いーっぱい食べて、ニコニコになる。
尚くんは笑顔が似合うもんね。これからはちゃんと磨こうね。尚くんが磨いてあげると、歯が元気になれるんだよ。
はーい。ぼく、きちんと磨くよ。
おいおい、これじゃあもう俺様は住めないぜ。
仕方ない、引っ越すか。
そうだな。歯磨きしない人間なんて、他にもきっとたくさんいるもんな。
また、探そう。
いい人間見つけたと思ったのに…とほほ。
妖精は、今日も虫歯菌から歯を守るため、子どもたちに話し掛けます。
歯を磨いて、大きく笑おう。
してくれるのは、達人か妖精くらいです。
では いってきます。 敬具