よし、できたっ。これで完成ー。
なに?なに?なにか作ってたの?
ちょっとねー。ふぁ~、眠っ。
晃姉、徹夜?珍しいね。
ね。ついつい根詰めちゃった。
ますます気になる。一体何作ったの?
作ったってゆうか、ただの現文の課題が終わったの。
課題って?
つっこむねー、フツーの宿題。
見せて。
ちょっと、やめてっ。
何で隠すの~?
別に隠してないし。それより、あんた大丈夫?今日部活なんでしょ。
やばっ。もうこんな時間?行ってきまーす
気を付けてねー。
18年前のとある日曜日。高校1年生の晃子は、1つの物語を書き下ろした。たまたま授業の一貫で、文学に触れようというコンセプトの中に「自分で物語を作ってみよう」という課題があった。これは全国的な規模で行われる大きなコンクールで、最優秀作品は本として出版されることとなる。本離れが進む昨今、若い頃から物語に慣れ浸しもうという初の試みであったこの企画。
そう、晃子の物語は見事最優秀作品に選ばれたのである。製本され、出版に至り、全国の図書館に納められる運びとなった。
当時中学生だった、那美の目にも止まることとなる。そして、大いに那美を感動させ、作家への道を歩む決意を抱かせる、きっかけとなったのであった。
また つづく。