いまブーム | My-Hero

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ヒーローに憧れた夢。

拝啓 虫歯ポーズ様

空前の虫歯ポーズブーム。
このご時世、現実の歯痛で頬を押さえている人は
果たして何割いるのだろうか。
あるいは、私1人かもしれない。
そんな孤独が押し寄せる中
私はいま、歯が痛い。

なんか痛いなーと思っていたのも束の間、
もはや完全に痛い。絶対に痛い。

7年ぶりのオヤシラズだ。
流行は繰り返すというが
私のオヤシラズは、いまブームだ。


思えば7年前、私はまだ学生だった。
ゼミを虫歯ポーズで乗り切った実績がある。
オヤシラズで同情を買い
先生に心配までしてもらった。

感謝の気持ちしかありません。
ありがとうございました。


そんな私も、いまや一端の社会人。
大人になった覚えはないが
大人として毎日を過ごしている。
どうやら大人は
虫歯ポーズでは仕事を乗りきれないらしい。
先生、私も少しは大人に近付いてるみたいです。


オヤシラズは抜くしかない。
一度痛くなったが最後。
抜くことでしか痛さから解放される道はない。
7年前は右上。
そしていま、左下が悲鳴をあげている。


ちなみに、私には全てのオヤシラズが生えた。
何故こんなにも多くの歯が
私の中に眠っていたのか。
歯である故、生えること自体は本能だ。
でも、先に生えた歯を傷付けるのは
ルール違反だよね。
神様、オヤシラズにどうか教えてあげてください。
頑張らなくていいんだよ。


抜歯時、口内は工事現場へと化す。
ショベルカーやブルドーザーが
ところ狭しと駆け巡る。
麻酔の注射で感覚はないが、雰囲気はある。
これでもかというくらい雰囲気を伝えてくる。
人間から出るとは思えない“ミシミシ”という音をきくだけで、涙が顔を出す。
しかし、痛くない以上大人は泣くべきではない。
痛いのは麻酔の注射だけなのだ。
いや、それもう最初から痛いんじゃん。


麻酔が切れた後が痛さ本番。
そんな逃げ出したくなるような恐怖にも
いまなら虫歯ポーズでお洒落に乗り切れそうだ。
もちろん仕事もちゃんとやります、大人だし。
ただ明らかに元気ないと思うけど
そこは、いまブーム で多目に見てください。

疼きで眠れない夜も今日で終焉。
では いってきます。                         敬具