櫻田山神社(さくらだ さんじんじゃ)
宮城県栗原郡栗駒桜田に鎮座。旧社格は村社。
主祭神として武烈天皇(小長谷若雀命)を祀る。
その他に近隣の神社の祭神である誉田別命(応神天皇)を
合祀している。
第25代天皇であった武烈天皇・小長谷若雀命…
『日本書紀』においては暴虐の天皇とされているが、その一方で、
『古事記』にはそのような記述はなく、無実の罪を見抜き正義を為し
日々政務に勤しむ賢帝としての記録もあるそうです。
この相反する評価は、次代天皇であり、血縁の薄い継体天皇の
即位を正当化する目的で、武烈天皇を暴君・悪逆の天皇として
『日本書紀』で痛烈にディスった貶めたとされています。
そんな武烈天皇ですが、武烈8年(506年)12月8日に18歳の若さで
崩御されました。
武烈天皇に仕えた狩野掃部ノ介と久我大連の両名は、
武烈天皇が後継者のいないまま崩御されたことから、
その責任を取らされ、都から遠い東北の地に左遷された。
左遷の命令を受けて、二名が東北を巡礼している道中、栗駒山の
山並の荘厳さに魅せられ、武烈天皇を偲んで御影を作り、
栗駒山の山中に武烈天皇の御影を祀る御社を建立し奉仕した。
一迫北沢王沢というところには、久我大連の子孫である家が数軒あり、
この地で久我大連が武烈天皇の御影をお祀りして暮らしていたそうです。
武烈天皇の御影を奉る邸内をお産で穢してはならないということもあり、
久我家では先祖代々、屋敷内ではお産ができないというしきたりが
あるのだそうです。
しかし、栗駒山の山中に鎮座する御社に参拝することは
困難なことから、桜田の里の地に御社を遷座した。
『桜田に鎮座する、栗駒山から遷座された神社』ということで、
御社には『山神社(さんじんじゃ)』と称した。地元の氏子からは
『やまのかみさま』と称されているそうです。
武烈天皇をお祀りする神社ということもあり、昔は書画や古器物、
古什器などを多く所蔵していたものの、後冷泉天皇の御代である
天喜年間に火災にあい、御本殿や所蔵物を焼失している。
その後、寛政3年(1791年)8月に別当であった宝積院充海の代に
御本殿を修造している。
また、文化年間に悪疫が流行し、疫病退散の願いを込めて
御神輿を新造し、毎年村内での神輿渡御を行ったという。
その御神輿も新造してから約80年が経過し大破したため、
明治13年に氏子崇敬者から浄財の寄進を受けて修繕を行った。
櫻田山神社は、明治12年6月には村社に列格された。
明治18年10月30日に放火により再び火災にあい、
神祇殿(御本殿)、御神輿、舞獅子、鎧冑などを焼失し、
拝殿と文化10年に造られた社額のみが焼損を免れた。
その後、氏子崇敬者の浄財寄進を受けて、大正14年4月に
総欅白木流造の拝殿が再建された。
明治41年には桜田中屋敷地区に鎮座していた亀井八幡神社の
御祭神である誉田別命(応神天皇)を合祀している。
栗原市栗駒桜田に鎮座する櫻田山神社です。
こちらの神社は、お笑いタレント・歌手として活躍されている
狩野英孝さんの御実家でもあります。
神社社務所に掲示されている、栗原市の子育て応援ポスター。
狩野英孝さんも支援されている御様子。
神社の場所は、栗駒に向かう県道17号・42号線の東側になります。
近くに来ると、道路そばに看板が立っているので、それを目印に
櫻田山神社へ向かうと良いと思います。
櫻田山神社参道入口と社号標。
櫻田山神社社号標。
【日ノ宮 櫻田山神社】と書かれています。
櫻田山神社参道から見た栗駒山の眺め。
櫻田山神社第一鳥居。
駐車場は第一鳥居を抜けた先にあります。
櫻田山神社第二鳥居と鳥居扁額。
櫻田山神社参道と、参道から見た拝殿。
櫻田山神社境内。
櫻田山神社拝殿。
横から見ると分かりますが、総欅白木の三間社流造の拝殿です。
一見すると、御本殿のような珍しい造りになっています。
【山神宮】と書かれた櫻田山神社拝殿扁額。
櫻田山神社拝殿内部の天井絵。
こちらの天井絵は寛政3年(1791年)に奉納されたものだそうです。
櫻田山神社の拝殿は栗原市有形文化財に指定されています。
また、春の例大祭で奉納されている『櫻田ばやし』という手踊りは
栗原市無形文化財に指定されています。
【俵藤太の百足退治】の絵馬。
瀬田の唐橋で龍神の娘から近江三上山の大百足の討伐を
依頼された、藤原秀郷(俵藤太)の伝説を描いた絵馬です。
【桃園の義】の絵馬。
三国志演義において、劉備・関羽・張飛が桃園で義兄弟のなる誓いを
交わすという故事にちなんだ絵馬です。
これらの絵馬の他にも、多くの絵馬が拝殿に奉納されています。
一間社流造の櫻田山神社御本殿。
社殿右手の馬頭観世音などの石碑や石祠。
参道左側、狩野家のそばに鎮座する明神・水神・雷神社と荒神社。
境内の『子桜』と呼ばれる桜の古木。
樹齢は800年と推定されています。
子桜のそばにあるのは『ミヤギケンタウルス』の像です。
これは、東北放送の『サンドのぼんやり~ぬTV』という番組の企画で
仙台駅構内の伊達政宗像のかわりになる新しい待ち合わせ場所と
して制作され、2009年の仙台七夕期間に展示された像です。
狩野英孝さんの奉納した絵馬。
【ここに書いてある願い事が全て叶いますように…】という
狩野英孝さんの氏子崇敬者への思いが、大神さまに届きますように。
櫻田山神社ですが、2017年7月現在、宮司不在となっています
そのため、基本的に御朱印は、狩野英孝さんの御実家に預けてある
書き置きのものを授与していただく形になります。
もしくは、櫻田山神社を臨時兼務している鳥合神社の宮司さんが、
例祭などのときに櫻田山神社にいらっしゃれば御朱印帳に
直接書いてくださる場合もあるそうです。
(鳥合神社で御朱印帳に記帳をお願いしても、
櫻田山神社の御朱印は狩野家で保管・管理しているので、
櫻田山神社の御朱印はいただくことはできません)
櫻田山神社御朱印。
基本的には書き置きのものは写真上側の社名の墨書入りとなります。
例祭などで神社に宮司さんがおいでの場合は、下右側のように
御祭神である武烈天皇の御神名が書かれたものをお願いして
いただくことができるようです。
櫻田山神社は、昔から縁結びや安産の神として崇敬されており、
また、桜田という地名や境内の子桜など『桜』に因む神社なので、
御朱印には桜の花びらや花を模した印が押されています。
栗駒山に向かう途中の田んぼと山々に囲まれた静かな場所に
鎮座する櫻田山神社です。
近くの鳥合神社もですが、武烈天皇や百合若大臣と緑丸の話などの
伝説が語り継がれている地域です。
栗原市や栗駒においでの際は、どうぞ由緒ある鳥合神社や
櫻田山神社などの神社に参拝してみてください。
< 地図 >