※※※本編の内容・ネタバレを含んでいます。ご注意ください。※※※


みなさまこんばんは!
満です♬

フリーホラーゲーム「クロエのレクイエム」をクリアした感想です。

クロエのレクイエムは、コチラから無料でプレイできます。
(PCのWindows対応)



プレイ時間は3~5時間。
エンド数は6。


物語のあらすじは以下の通りです。
 ある事情で家から飛び出した少年・ミシェルが、行く宛もなく彷徨い辿り着いたのは呪われた館だった。
そこに住むピアノ弾きの少女・クロエは、この呪われた館から解放してほしいと願っていた。
彼女を放っておけないと感じたミシェルは、不穏な雰囲気の漂う館で数々の不気味な仕掛けを解き、楽譜を集めては演奏していく。

 呪われた館に囚われているクロエは、火の影やぬいぐるみ達と友だちとして会話するような純粋な子。
彼女の場合はそれだけ両親からの愛情を欲していたというのもあると思う。
おもちゃの友だちとの平和なやり取りと、その後の虐待シーンの対比でより悲痛さを感じました。
ミシェルが楽譜を見つけて共演するごとにクロエの過去が蘇るけれど、館の暗闇が少しずつ晴れていくのは彼女の心が救われていくようだった。
日常的に自分を甚振り、まだ生きているのに鎮魂歌を送ってくる父親。そんな父親の歪んだ感情から守るどころか、娘を敵視し殺意を向けてくる母親。
そして次々といなくなっていくメイドたち。
味方は誰もいない。
本来なら心の支え、中心核になる両親が何よりも自分を傷つけ痛めつける。
そんな生き地獄の中で、たまたま演奏会で共演したミシェルが心情を察してくれて素っ気ない素振りでも助けてくれたことが、クロエにとって本当に大切な思い出だったんだと思う。
憎悪が形となり呪いとなって自我を乗っ取られ生霊として館を彷徨っていても、クロエはずっと助けを求めていたんでしょう。
きっとミシェルの存在は、彼女の最後の希望だった。
クロエの想いは切ないけど、ミシェルとの思い出は温かくて心の拠り所にした気持ちがわかる気がします。

 そんな彼女を呪いから解放してみせたミシェル。
クロエを呪いから助ける過程で自身もまた呪いに掛けられていたことに気づき、己の呪縛も解いた真摯な少年です。
彼は天才ヴァイオン弾きで、まだ12歳ですが圧倒的に飛び抜けた才能を持っている。
周囲の大人から絶賛されていたミシェルは、双子の弟・ピエールを大事にしていた。
ピアノ弾きのピエールは演奏会でいつもミシェルと共演していたけれど、常にミシェルと比較されていた。
努力家のピエールはピアノは上手だったけど、ミシェルと比べると実力が釣り合っていないと周りは感じていた。
双子の父親からもミシェルはプロのピアニストを伴奏につけるべきだと言われていて、でもミシェルはピエールとじゃなきゃ弾かないと断言していた。
それだけ弟のことを信頼し、弟との合奏を楽しみ、大事にしていたんだと思う。
一方、常に比較され、父親から伴走者についてミシェルを説得するよう頼まれていたピエールの心境を考えると居た堪れなくなった。
ミシェルとピエールのどちらも悪くないのに。良い兄弟なのに。
明るく朗らかだったピエールですが、ある日を境についに爆発。
(こういうのはどこかで衝突するのは避けられなかったとも思う。)
一気に険悪な空気になった上に、父親からも才能を利用されていたことを思い知ったミシェルはどんどん追い詰められていく。
唯一の癒やしだったネコを失い、気持ちが追い込まれていたときにメイドを突き飛ばし、運の悪いことに古いシャンデリアが落下してメイドは死亡。
人を殺してしまった罪悪感まで背負い込むミシェルはもうこれ以上抱えきれないとばかりに、父親や使用人を刺して逃亡。
辿り着いたのがクロエの館だった。
まだ12歳の少年にどうしようもなく重すぎるものが大量に伸し掛かって、身動きが取れなくなってしまうなんて。
起こってしまったものは取り消せないし、ミシェルの身に降り掛かった出来事は辛い。
けど、ピエールはミシェルに怒りをぶつけてしまったことを後悔して帰りを待っていてくれて、ミシェルはもちろんピエールを大事に思ってる。
今でもふたりはお互いに絆があるから、再会したふたりはまた支え合って生きていける。
そんな希望が見える気がします。

 呪いの館でクロエと会ったばかりのとき、ミシェルは以前飼っていたネコのクロエと目の前にいる不思議なクロエを同一視していて、多分それが彼女に親切にする最初の理由だった。
それがクロエの背景と絶望を知り、ネコと同一視していたことを悔い、クロエ個人を見て心から彼女を救いたいと決意するように。
ちょっと言葉足らずで、でも優しい言葉(ツンデレ?)。
クロエへの深い感情移入、命懸けで助けようとするところ。
こちらから見ればもう完全に恋なんだけど、ミシェルとクロエの間にある想いは、きっともっと言葉に表せないようなものなのかなぁなんて考えたりもしました。尊い。

【END BAD-1】
銀のナイフを装備せず、クロエを刺さず抱きしめる。
ミシェルはクロエに殺されるが、死にゆく中でも彼女へ暖かな言葉を掛ける。
すると、クロエは自我を取り戻した様子でミシェルの名を呼ぶも、すでに多く彼は……。
切なく悲しい終わり方だった。

【END BAD-2】
銀のナイフを装備して、クロエを刺さず突き飛ばす。
突き飛ばしたシャルロットが死んだときと似たような状況にミシェルは愕然とする。
変わり果てた姿のクロエの不気味な笑顔で襲い掛かってくるのが恐ろしくて、このゲーム中で一番怖いシーンだった。

【END Normal】
託された銀のナイフでクロエを刺すとこのエンド。
恐らく彼女は呪いから解放されたでしょうけど、最後にクロエとの意思疎通が出来なかったのが少し心残りで切ない
ここを解消してくれるのがまさしくトゥルーエンドのこちら!

【END Cloe】
銀のナイフを装備し、お守りを所持して、クロエを抱きしめる。
いわゆるトゥルーエンド。
あらゆる呪いから解放されたふたりが眺める朝日は、何よりも美しかったんだろうな。
にしても、ミシェルのクロエお姫様抱っこが見られて眼福でした!
このままふたりで末永く幸せになって欲しかったよ…。
でも、クロエの心が救われて本当によかった。

【END Cloe】追加エンドその1バージョン
↑のトゥルーエンドと基本的に同じ内容ですが、生霊のクロエと共に呪いに立ち向かい、打ち勝つ流れになっています。
なので、生霊のクロエの自分の肉体に戻る場面があり、よりこの館で共に過ごしたクロエの心を救えた感がある。

【END Ghost】
追加エンドその2。
生霊のクロエと共に呪いに立ち向かい、負けてしまった。
ミシェルはクロエと同じ存在となり、館に囚われる。
しかし、ミシェルはこの結末にも満足した。
何故なら、彼女と永遠に一緒にいられるからだと思う。
ふたりは永遠に続くであろう音楽会を始める。
ちょっとメリーバッドエンドみがあって、これはこれで良いかもなんて思ってしまった。←


というわけで、クロエのレクイエム感想を終わります。
実際にある素晴らしいクラシック曲がBGMに数多出てくるので、元々いくつか好きな曲あったけどさらに好きになりそう。
普段も聴いてミシェルたちを思い出してます。
哀しみ、葛藤、愛情など人の純粋な想いが描かれた本作品。
心理描写とシナリオの深さを求める方にとてもおすすめです。