小説家志望 -8ページ目

『午前三時のルースター』 垣根涼介

旅行代理店勤務の俺は失踪した父親を探す少年に同行しベトナムを訪れる。現地の娼婦や運転手の協力で俺達が知った切ない真実とは


「こんなおすまし顔の人生。一年、二年と、心は失速していった。このままいけば、間違いなくおれは腰抜けになる。使い物にならなくなる。そうも感じていた。我儘と言われればまったくそのとおりだし、いい大人が何をいまさら、と大多数の人間は思うだろう。また事実、おれの方が変なのかもしれない」

『ワイルド・ソウル』 垣根涼介

垣根涼介は、旅行会社の添乗員だった経験を生かしたリアルな舞台設定と、繊細な人物描写を得意とする新しい才能である。そんなクライム・エンターテイメント小説の気鋭が、事実を基に練り上げ1年をかけて書き下ろした意欲作が本書である。国の無責任な移民政策による被害者たちの怨恨という難しいテーマを、きめ細かく鮮やかに料理し、読者を突き抜ける爽快感へと導く。

「世の中には、二種類の人間しかいない。分かっていない人間と、分かっている人間…目に見えている世界の表層をなぞるだけの人間と、その表層の集合体から本質を見極めようとする人間だ。」

『火の粉』 雫井修介

元裁判官で、現在は大学教授を務める梶間勲の隣家に、かつて無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い…武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴んでいく。手に汗握る犯罪小説の最高傑作。

『ハゲタカⅡ上・下』 真山仁

「私が腐りきったこの国に復讐して差し上げます」いつか日本を買収すると豪語する天才買収者・鷲津政彦が、あの巨大企業をターゲットに定めた。大銀行トップ、企業再生のプロ、外資系投資銀行、カリスマ経営者…激烈な買収戦争で最後に笑うのは誰か?衝撃の書き下ろし長編小説。


「サムライというのは、死に場所を探すために生きることだと多くの人たちは勘違いしている。本当のサムライは、いつどこで死んでも悔いのないよう、どう生きるかを常に考えているのだ。」

『サウダージ』 垣根涼介

故郷を忘れ、過去を消した。誰にも打ち明けなかった。かつての仕事仲間からも追放された。一人になった。そんなときに出会った。コロンビアから来た金髪の出稼ぎ売春婦、DD。わがままで、金に汚い。道ばたに十円でも落ちているとすぐに拾おうとする。気分屋で、アタマも悪い。どうしようもない。そんな女に、何故かおれは惹かれてゆく。引き摺られてゆく。


「みんな飯を食って、笑って、泣いて、ウンコする」

『陽のあたるオヤジ―鮫のひとり言』 大沢在昌

直木賞作家大沢在昌初のエッセイ集。酒、仕事、恋愛、釣り、遊び「新宿鮫」の作者がつづる男のいきさき。


オヤジとなったら、選ぶ道はひとつしかない。かつて、「男は三十代、四十代よね」といって、二十代の私をムカつかせた娘どもを(当時の、じゃない。今の二十代の娘だ)、どうだ、どうだ、と片っ端からモノにしていく他ない。オヤジはオヤジでも、「オヤジくさい」とか「無理をしてる」とかいわせない。「陽のあたるオヤジ」になるしかない。

『一九七二年のレイニー・ラウ』 打海文三

忘れかけた愛、消えそうな恋、成熟恋愛小説
出逢えたかもしれない、しかし現実には出逢えなかった「恋人」たちへ送る「大人の恋愛小説」。物語の主人公たちはいずれも人生の道理をわきまえてしまった成熟の世代。満たされぬ思い、退屈な日常を抱えながら、やむにやまれぬ愛の可能性に賭けていく。

「愛をつなぎとめるために自分を傷つける、というていどの生易しい行為では、おれの気持ちはおさまらない」

『犯罪小説家』 雫井脩介

新進作家、待居涼司の出世作『凍て鶴』に映画化の話が持ち上がった。監督に抜擢された人気脚本家の小野川充は『凍て鶴』に並々ならぬ興味を示し、この作品のヒロインには、かつて伝説的な自殺系サイト〔落花の会〕を運営していた木ノ瀬蓮美の影響が見られると、奇抜な持論を展開する。待居の戸惑いをよそに、さらに彼は、そのサイトに残された謎の解明が映画化のために必要だと言い、待居を自分のペースに引き込もうとしていく。そんな小野川に、待居は不気味さを感じ始め―。全篇に充ちた不穏な空気。好奇心と恐怖が交錯する傑作心理サスペンス。

『死ぬ自由を得られたとしたら、それは一つの大きな愛を得られたに等しい』

『使いみちのない風景』 村上春樹文 稲越功一写

それ自体には使い道はないかも知れない。でもその風景は別の何かの風景に、おそらく我々の精神の奥底にじっと潜んでいる原初的な風景に結びついているのだ。エッセイと写真の美しいハーモニー。


僕は思うのだけれど、人生においてもっとも素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものだから。

『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎

引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!四散した断片が描き出す物語の全体像は?


「生きることを楽しむコツは二つだけ」

「クラクションを鳴らさないことと、細かいことを気にしないこと」