今回は・・・。(サッドヴァケイション) | おすすめ日本映画

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こんばんは!アヒルです♪

今日は青山真治監督特集の最終回です。

『Helpless』、『EUREKA ユリイカ』と続いて、今回の『サッドヴァケイション』で最終回です!

私はこの3作品全て好きです(*^o^*)

特に過去の2作を観ている方には、とってもよい作品だと思いますよ♪

私はDVDを買ってしまいました!


それでは・・・。


今回、第74回目は 『サッドヴァケイション』(2007年) を紹介します。


監督:青山真治 出演:浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、板谷由夏、中村嘉葎雄
物語:夜の真っ暗な港に白石健次(浅野忠信)はいた。少しすると一隻の船が港に着く。健次は一緒にいた男と船の中に乗り込む。中には大勢の中国人がいた。健次とその男は中の中国人を外に出しトラックの荷台に乗せる・・・。つまり健次は中国人の密航の斡旋をしていたのだった。だが今回は少し違った。中国人が一人死んでいたのだった。そのとなりに中国人の子供がいる。健次はこの子供も売り飛ばされてしまうと思い、連れて帰ることにした。家には10年前の殺人事件以来一緒に暮らしている松村ユリ(辻香緒里)がいた。中国人の子供の名前はアチュンといい、健次とユリとアチュンの新たな共同生活が始まった。その日々は非常に穏やかだったが、それも長くは続かなかった。健次は密航の斡旋をしていたことで中国人に目を付けられてしまう。健次は中国人の追っ手から逃れるためにユリを一時的に施設に預け運転代行へと職を変える。

 時を同じくして、高校を卒業した田村梢(宮崎あおい)は行方をくらませていた。父親同然の沢井が亡くなったことが大きな原因だった。家族同然の付き合いをしていた茂雄(光石研)は、梢の従兄弟の秋彦(斉藤陽一郎)を連れて梢を捜し始める。

 健次は運転代行の仕事も板についてきたころ、間宮繁輝(中村嘉葎雄)という客を送ることになる。その間宮繁輝という男は、若戸大橋のすぐ近くで「間宮運送」という小さい運送会社を営む社長だった。そこで健次は間宮の妻を見て驚愕する。間宮の妻 千代子(石田えり)、その女はかつて幼い頃の健次と健次の父親を捨てて出て行った母親に違いなかったのだった・・・。



 『Helpless』、『EUREKA ユリイカ』、『サッドヴァケイション』と続いた3部作の完結編です。以前の
『Helpless』、『EUREKA ユリイカ』の時には3部作なんて全く言われていなかったので、正直『サッドヴァケイション』が公開になる時に初めて続きの作品が出ると聞いて驚きました。

 個人的には、『Helpless』、『EUREKA ユリイカ』を観てからこの作品を観ていただきたいです。この『サッドヴァケイション』だけでもとてもいいと思いますが、過去の2作を観た方がより楽しめると思います。

 まず登場人物は、『Helpless』では白石健次(浅野忠信)、松村ユリ(辻香緒里)、秋彦(斉藤陽一郎)が出てきます。『ユリイカ』からは、田村梢(宮崎あおい)、茂雄(光石研)、秋彦(斉藤陽一郎)と出てきます。3作通して出てきているのは、斉藤陽一郎さん演じる秋彦だけですね。昨日、一昨日の紹介では秋彦には一切触れませんでしたが、この秋彦は気は小さいがとにかく無神経に人の心に土足で踏み込んでくる人物で、どの作品でも狂言回しのような存在で動いてきます。ただこの『サッドヴァケイション』の秋彦は、過去の2作に比べると非常に大人になっている印象を受けました。この10年の間に秋彦も「成長したんだな」としみじみ感じてしまいました。

 やっぱり『Helpless』、『EUREKA ユリイカ』のその後の作品ということで、健次や梢はどうなったのかな?と気になっていました。本当に安心したのが『ユリイカ』で病に侵されていた役所広司さん演じる沢井が、梢の高校卒業まで生きていたということです。『ユリイカ』を観た後、沢井がすぐに亡くなり梢が一人残されてしまうと感じていたので本当に安心しました。健次もユリと一緒に穏やかに暮らしていたのも嬉しかったです。

 その後を観るという意味でもとてもいい作品でした♪



 自分が親に見捨てらたことで、他人が見捨てられるのを見ていられない健次。実際、ユリとアチュンを見捨てられず2人との生活を送っているんです。母親に復讐をしようと働き出した間宮運送の社長の間宮繁輝もまた健次と同じように行き場無い人たちの面倒を見ている人で免許を剥奪された元医者、借金取りに追われている男、ヤクザに追われる人などに仕事を与えている人だったんです。

 復讐を心に決めた健次だったが、母親の千代子達と一緒に暮らすことで徐々に翻弄され惑わされていくんです。健次の復讐の前に立ちはだかる千代子の母性の力を感じる、そういう作品ですね。動揺する健次に対して、一切動揺が無くふてぶてしささえ感じる千代子の図太い母親の強さには驚かされるばかりでした。石田えりさんが本当に好演されています。



 『Helpless』、『EUREKA ユリイカ』に比べて まるくなった印象を受けました。過去2作が苦手な人でも普通に観れる作品ではないでしょうか。

 とにかく感じるのは、石田えりさん演じる千代子の強さが印象的です。そしてこの映画は千代子だけにかかわらず、強い女性が描かれています。石田えりさんは母親としての強さを、板谷由夏さんは恋人を想う女性の強さを、宮崎あおいさんは母親に捨てられても許すことができる強さをよく表現されています。

 個人的には、石田えりさんの図太さはもちろんなんですが、板谷由夏さんの健次を愛する気持ちには感動を覚えました。とにかく健次のことを愛しているのが凄く伝わってきます。健次が唯一心を許せる存在だというのが本当によく分かりました。

 そして、浅野忠信さん演じる健次と中村嘉葎雄さん演じる間宮繁輝の無償の愛情にも感じるものが非常に強くあります。

 『Helpless』、『EUREKA ユリイカ』では弱い親のせいでもがく子供を描いていたのに対して、この『サッドヴァケイション』では強い親の母性を描いています。愛情を描かれていたのでとっても温かい作品です。


 茂雄が秋彦を『梢ちゃん捜索隊』に入隊させるシーンは、以前の2作の雰囲気からは考えられないような楽しいシーンで個人的にはとっても好きなシーンです!口は悪いが優しさのある茂雄に秋彦は安心を覚えている様子は温かい気持ちになりますね♪

 それとオープニングの健次とアチュンが自転車に乗っているシーンも好きです。健次がオダギリジョーさん演じる後藤と行く丘のシーンもキレイで好きです♪

 物語も作品の空気感も雰囲気も全部好きな作品です。映像も本当に美しいですし、テーマ曲も本当に素敵です!音楽もたくさん使われていて楽しいですし、お気に入りの作品の仲間入りです♪


 色んな意味で楽しめる作品です。決してハッピーエンドというわけではないんですが、どこか温かさのあるそんな映画になっています♪見所も非常に多いので、まだ観たことの無い方は、ぜひご覧になって下さいp(^-^)q


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